キラキラしたアイドルに憧れて芸能界へ

――現在セブンティーンのモデルとしても大活躍中ですが、そもそも芸能界に入ったきっかけは?

上坂:最初からモデルを目指していたわけではなく、小さい頃はアイドルに憧れてテレビに出演したいと夢見てました。小学6年生のときに、母の知り合いからオーディションを紹介してもらって初めて受けたのが、今の事務所のオーディションだったんです。

――初のオーディションですぐに受かったとはすごいですね。好きなアイドルはいましたか?

上坂:幼稚園の頃、前田敦子さんや大島優子さんがセンターだったAKB48が大人気で、本当にキラキラして見えてすごく憧れていました。

――憧れていた世界に入れるとなったときの最初の気持ちは?

上坂:「現実なのかな?」って(笑)。夢を見て憧れていたとはいえ、リアルになるとは想像していませんでした。最近でも地上波のドラマに出て、その自分をテレビで見ることが本当に信じられず、本当に夢のある世界だなって思います。

――そこからお芝居に興味を持ったきっかけは?

上坂:事務所に入った当初はモデル志望でしたが、初めてお芝居のレッスンを受けて、“お芝居のほうが好きかも”と思うようになり、女優になるという夢を持ちました。

――どんなレッスンをしてそう思われたのですか?

上坂:2人1組になって演技をするレッスンです。そこで、自分以外の誰かを演じることや、自分自身ではできないことを役として体験できることの楽しさを初めて知り、表現するって楽しいなって。事務所に入ってすぐの中学1年の頃でした。

――憧れている女優さんはいますか?

上坂:清原果耶さんです。清原さんがニコラのモデルをしていた頃から、イチファンとしてとして大好きです。雑誌で見る清原さんとドラマに出演されている清原さんは全然違う人に見えて、すごくかっこいいなって。今もずっと憧れです。

――最初にお芝居の仕事をしたのは?

上坂:高校1年生のときで、LINE NEWSの『VISION』のショートドラマです(『可愛くなったらさようなら』主演)。現場では何したらいいのかわからないことだらけで。キョロキョロしながら「短い映像でもこんなに時間がかかるんだ!」と驚きました。舞台裏の大変を知り、さらにやる気が湧いて気合いが入りました。

――とまどいながらも、めげるのではなくて逆にやる気が湧いた理由は?

上坂:撮影は大変ですし悩むこともあるんですけど、誰かに見てもらって感想をもらったり、表現力について褒めていただくと、すごく幸福感に包まれるんです。単純にお芝居をする楽しさが一番にあるので、楽しみながら学ばせてもらっています。

 

反響がスゴかった『いちばんすきな花』

――これまでの出演作で、印象に残っている現場を教えてください。

上坂:NHKのドラマ『生理のおじさんとその娘』(2023年3月24日放送)です。初めて地上波のドラマに出演した作品です。オーディションに向けていろいろ準備したことも印象深いですし、初めてのことを一気に経験したので吸収したものが多く、その経験が今や次につながっていると実感しています。

――具体的に、どういうことが勉強になったんですか?

上坂:カットがかかった瞬間、共演者の皆さんはすぐにモニターを見に行かれていて。私は自分が出ているものを見るのが恥ずかしくて、声も聞きたくない気持ちがあったんですが(笑)、自分のお芝居を見て分析しないと成長しないなと。そして、現場の空気感についても学べました。自分がどう動いたらいいのかなど、お芝居以前の話ですけど、仕事をするうえでの気持ちのあり方みたいなこともたくさん学びました。

――その経験があったからこそ、『いちばんすきな花』であれだけ印象に残るお芝居できたんですね。

上坂:『いちばんすきな花』もオーディションで決まったんですが、自分なりに作品の世界観を壊さないように心がけて、準備して撮影に臨みました。

――孤独感を背負った女の子の役でしたが、どういうふうに役作りをしましたか? 

上坂:気をつけたのは、無駄に口角を上げないことです。普段の私は無意識にニコニコしちゃうんですが、監督からは「家を描いてるときに初めて笑ってほしい」と言われていたので、そこを一番意識しました。

どこか影のある女の子なので、例えば、(今田美桜演じる)夜々ちゃんが小さい頃のシーンではお姉さんらしく見せるけど、ふとした瞬間にスッと自分に戻ったりとか、そういう細かい部分をセリフではなく、表情や姿で見せたいと思い演じました。

――現場で手応えはありましたか?

上坂:手応えは……正直なくて(笑)。すでにある世界観に自分が飛び込んだ形だったので不安でした。でも、放送後にたくさん感想をいただけてうれしかったし、今までで一番、知り合いから連絡が来ました。ほとんどの友人が私が出ると知らずにドラマを見ていてビックリしたようですが、「良かったよ」と言ってもらえてうれしかったです。