イギリス人も驚いた日本人の歯磨き習慣

以前、イギリス人女性が来日した際、数日間、同行したときのことです。昼食後にハンドバッグの中から何やら誇らしげに携帯用の歯みがきセットを取り出して、こんなことを言ったのを思い出しました。

「日本に来るようになって、いちばん衝撃を受けたのがコレなのよ。若い女性たちが、お昼ご飯を食べたあとに歯みがきをするのを見て、なんていい習慣なのかしらと思って、同じような携帯用歯みがきセットを買ったの。食後の口の中って気になるものね。これで気にしなくてすむわ」と。

たまたま何度かオフィスで一緒に仕事をしたとき、昼食後に歯みがきセットを持って化粧室に行く女性たちの行動に興味が湧いたらしく、影響を受けたそうです。

オフィスでの食後の歯みがき習慣。これは歯の健康維持というよりは、口臭が気になるため、安心して仕事ができるように、という理由から流行り出したと聞いたことがあります。オフィスでもしっかり身なりを整えて、清潔に仕事をしようという日本人女性の美意識の高さを感じるひとコマでもあります。

この気になる口臭が飲み物で抑えることができるとしたら、かなり助かりますよね。仕事場はいつもオフィスとは限りません。歯みがきができる環境が整わない場所で、食事をしたあと、すぐに打ち合わせをするということもあるでしょう。

▲イギリス人も驚いた日本人の歯磨き習慣 イメージ:mits / PIXTA

口臭の原因は、口の中に残った食べかすのタンパク質です。口臭が気になると、自信を持って人と接することができなくなり、人に不快感を与えているのではないかと心配にもなります。

ある実験では、湯を飲んだ場合と紅茶を飲んだ場合、その後の口臭成分の量を比較した結果、湯を飲んだ場合は口臭成分が増えていたのに対し、紅茶を飲んだ場合の口臭成分は飲む前の6分の1にまで減ったそうです。

実際に、食後に紅茶で口をゆすいだり、うがいをしたりしてみると、口の中がすっきりするのがわかります。この場合も、砂糖やレモンなど何も加えていないストレートティーであることがポイントです。

歯みがきをする時間がないときや外出先で急いでいるときなど、紅茶習慣を身につけていれば助かることが多いことでしょう。紅茶は暮らしのなかのエチケットにも一役買ってくれるというわけですね。

ただ、紅茶でうがいしたから安心というわけではありません。これはあくまでも、歯みがきができない環境でのこと。紅茶やコーヒーや赤ワインなどの飲料は、歯への色素沈着が、一方では問題となります。自宅にいるときにはきちんと歯みがきをし、定期的に歯科医で検診を受けるなどの配慮が必要です。