和歌山県への旅で見つけた新たな発見

私はそれほど運動好きではありません。ウォーキングを1日1万歩とか決めて、ノルマを課すようなことには興味もありません。でも歩くことは嫌いではありません。

たとえば、大好きなラーメンの新しい店が開店したという情報が入ると、ワクワクして出かけます。歩いたその先に楽しいことが待っていると思えば、毎日でも歩けるのです。最近はとくに目的がなくても、“ちょっと出かけてみるかな”と家を出ることも増えてきました。

地方に出張に行ったときでも、時間があれば“ちょっとブラブラしてこよう”とホテルの部屋を出ます。

すると、思いがけない場所で、思いがけずも美味しいラーメン店を見つけたりします。すごく得した気分になります。自宅近くでも同じで、夜は妖しげなバーやスナックの看板しか並ばないような道でも、昼に歩けば小さな花屋さんやケーキ屋さんがあったりして、意外に健康的なんだなと落差に楽しくなったりします。

そういう経験を何度か繰り返しているうちに、日本の有名な観光地や温泉地などへ講演などで行くときも、“ちょうどいい機会だから、散策してこよう”と考えるようになりました。

以前は、“どうせつまらないだろう”と考えてしまい、用件が済めばすぐに帰ってくるスケジュールしか組まなかったのですが、最近は時間が許す限りゆっくり過ごすようにしています。

そして、のんびり歩き回ってみると、やはりいろいろな発見があるのです。どんなに有名な観光地だとしても、自分で歩いてみれば意外な発見があったり、観光案内には載っていないお気に入りの場所が見つかったりします。

最近の経験では和歌山県の有田市があります。ミカンの産地というのは有名でも、それ以上の知識はなく、なんとなくミカンの実る丘が広がって、のどかな場所なんだろうなと思っていました。

ところが、実際に訪ねてみて知ったのは、有田は「ありた」でなく「ありだ」ということでした。しかも海が間近に広がっていて、丘の上のレストランから夕陽に照らされた海を見ていると、ウットリしてしまいます。

もちろん魚も美味しいし、地元の自慢です。しかも全国でトップレベルのラーメン店もあるらしく、次回はぜひ訪ねてみたいと思いました。

▲和歌山県への旅で見つけた新たな発見 イメージ:96BOX inc. / PIXTA

つまり、自分が動いてその場所に行ってみると、思いがけない発見がいくつも出てくるということです。それによって薄っぺらな知識だけじゃなく、相手が喜んだり興味を持つような話ができるようになります。読書力は確かに興味や関心のきっかけは作ってくれますが、それを広げたり掘り下げたりするためには、行動力も必要になってくるのです。

好奇心を支えるためにも「外に出る」ことが大事

面白い話ができる人には行動力も備わっています。歴史好きなら実際に舞台となった町や古跡を訪ねてみる。さまざまな資料が展示してある博物館や美術館を巡ってみるといった程度のことは、誰でもやってみたくなるはずです。

自分なりのテーマを決めて勉強しようと思えば、その分野に詳しい人を探して会ってみたり、あるいは料理なら自分でも作ってみる、動植物や鉱物の世界に興味を持ったら、それこそフィールドに出て歩き回ることになります。

そういった体験もなく、ただの知識を蓄えただけなら、他人に話や説明はできても、さまざまなエピソードや相手が引き込まれるような面白い話をすることはできません。

それに、なんといっても行動力を支えるのは好奇心です。「本当はどうなっているんだろう」「本には説明してあるけど見てみないとわからないぞ」。そういう自分の目で確かめる気持ちも好奇心から生まれてきます。前頭葉の活性化に欠かせないのも好奇心でした。その好奇心を支えるのが行動力だとすれば、定年を控えた50代こそ行動力を失うわけにはいきません。

では、どうすれば行動力を維持できるのでしょうか。とても簡単なことで、筋力や体力の問題ではないと私は考えています。動き出す習慣を失わなければいいのです。

「うーん」と腕組みして「どうするかな」「今でなくてもいいかな」と座り込むのでなく、「ちょっと出てみるかな」「とにかく出かけよう」と軽い気持ちでドアを開けて外に出ることです。外に出れば何かが浮かんできます。

実際、いつまでも若々しい高齢者は「ちょっと出てくる」と一言だけ残して、家を出ていきます。夫がそれをやれば妻は「どこへ行くの」と尋ねますが、「そのへん」としか返事はありません。

しばらくして戻ってくると「△△さんに会ったよ」とか「面白い本を見つけた」「この帽子、いいだろ」と上機嫌です。予定もなく家を出ても、何かに出会って気分が良くなるというのは実際によくあることです。気楽に一歩踏み出すだけで、いいことに出会える可能性があるのです。

▲好奇心を支えるためにも「外に出る」ことが大事 イメージ:96BOX プラナ / PIXTA