絶対的なテクニックを持つ王様・リケルメ

日本時間の早朝5時からの欧州チャンピオンリーグを見るため、夜7時に娘とともに眠りにつき、気がついたら13時間も寝ていました。どうも、すがやです。

アーカイブ配信、めちゃくちゃ助かります。お金こそかかるけど、今は有料サービスで好きな試合を見ることができて、便利になりましたね。

一方で、地上波で海外サッカーが深夜にやっていることで、翌日の学校で周りのサッカー部じゃない友達がサッカーにハマり、盛り上がる……みたいなこと、今はあまりないのかな? と思うと少し寂しくもあります。

僕自身、親がスカパーに加入させてくれるなんてことはあるはずがなく、深夜に地上波でやっている厳選された一戦を、「歴史に残る試合になるかも」と、録画しながら夜更かしをして見ていました。

そんな僕には好きなサッカーがあります。

それは絶対的なテクニックを持つ王様と、それを引き立てるためにチームメイトが走り回るチーム。

小学生の頃に読んでいた漫画『シュート〜新たなる伝説〜』に登場する久里浜高校がそういうチームで、彼らは『キングダムサッカー』と、そのサッカーを呼んでいました。

「とはいえ、漫画のなかでのこと」……そんなふうに思っていた僕に

「マジでキングダムサッカーやってるじゃん!!」

と衝撃を与えたのが、2006ドイツW杯のアルゼンチン代表でした。

皆さんの記憶にあるものでいえば、リオネル・メッシという王様と『メッシに憧れた子どもたち』で構成された2022カタールW杯のアルゼンチンが近いかもしれません。

でも、ちょっと違うんですよ!! 僕が好きなキングダムサッカーは、現代のフットボールではほとんど見られないものなんです。

10番はピッチの真ん中、トップ下の位置に君臨し、全ての攻撃がその足元を経由する。そして10番にボールが入ると、周りが一斉にそのスルーパスを求めて走り出す……そんなフットボールです。

▲サッカー界で「10番」は大きな意味を持つ イメージ:稲垣 一志 / PIXTA

「現代サッカーはプレスが厳しいけど、当時はそんなサッカーもやれたのか」

なんて思う方もいるかもしれませんが、当時すでに「トップ下の司令塔は時代遅れ」とされ、ゲームメーカーはトップ下よりマークが厳しくない一列後ろのボランチに。崩しのキーマンは前向きで受けられるウイングに……という、ピルロやロナウジーニョのような選手の時代になっていました。

当時、アルゼンチンの10番だったリケルメは、トップ下の位置で徹底して技術と体の使い方でボールを受け、前を向き、誰かがマークを外すまでキープし、スルーパスを通す。

そんな仕事を世界のトップレベルでしていました。最後はラウンド8で開催国のドイツを相手に、リケルメを下げて守備固めに失敗して散るのですが……。

ちなみに、そんなドイツW杯で、リケルメのために走り回る選手のうち一人は、あのメッシです。メッシですらもパスをもらうためにスペースに走る。そんなキープとスルーパスの天才がリケルメでした。

ドイツW杯から16年後の2022カタールW杯で、アルゼンチンVSオランダの試合が荒れたことを覚えていますか? あれ、メッシがゴール後にオランダの監督ファン・ハールの目の前までいって、両耳に手を当てるリケルメのゴールパフォーマンスをしたのも荒れた一因なんです。

ファン・ハールは、2002年ごろにバルセロナ(スペイン)に移籍してきたリケルメを干しに干した監督で、当時バルセロナのカンテラ(下部組織)で母国の天才に憧れたメッシには理解しがたい監督だったのだと思います。

だからこそ、リケルメのゴールパフォーマンスをやってみせた。20年来リケルメに憧れた子どもの復讐でした。

余談ですが、ファン・ハールの横でそれを見ていたのは、ロナウジーニョが加入してめちゃくちゃ美しいサッカーをするようになるも、守備が不安定で勝ちきれなかった2003-04のバルセロナに冬から加入して、一気に勝てるチームにしたダービッツでした。ダービッツ、サングラス越しでわかるくらい複雑そうな顔してたなぁ。