スペインの片田舎にあるクラブでリケルメが復活!

あのメッシが崇拝する、それくらいリケルメは上手かったんです。ボールを受ければ考えられないくらいの時間キープしますし、とられない。相手を引きつけてから出すスルーパスは極上。ただ、1人に攻撃の全権を委ねる戦術は、現代サッカーでは非効率的で(だからこそロマンがあるのですが)、

「キングダムサッカーは、もうリケルメでしか見られないんじゃないか」

そんなことを思う僕は、再びキングダムサッカーを目撃します。あれは「スカパー!」だったか「DAZN」だったか。チャンピオンズリーグ、過去の名試合特集というもので見た2005-06シーズンの準決勝、アーセナルVSビジャレアルの一戦。

ドイツW杯の数か月前。ハイライトしか放送されてないので内容こそ覚えてないけど、その試合のことはうっすら覚えていました。

当時、地上波はロナウジーニョがいるバルセロナの試合を中心に放送しており、そのほかの試合はフジテレビ深夜の『チャンピオンズリーグハイライト』でしか見ることができませんでした。

なぜうっすら覚えているかというと、スペインの片田舎の小さなクラブ・ビジャレアルが欧州のベスト4に進出! という特集がハイライト前に放送されていたのです。

今でこそビジャレアルはラ・リーガの中堅どころですが、当時はとても規模が小さかったようで、アーセナルの本拠地・ロンドンと比べて、「街はどれだけ田舎で、人口がどれくらい少なくて~」みたいな特集で、数年前に初めて1部に昇格したチームが、ここまで辿り着いたことによる街の人々の興奮する様子は頭の隅に残っていました。

そして、試合前の入場シーンを見て僕の胸は高まります。当時、チームの王様は、背番号8をつけたリケルメです。リケルメはバルセロナでファン・ハールに干されたあと、ビジャレアルに移籍して王国を築いていたのです。

やっぱり、あのサッカーはリケルメしかできないんじゃん!!

そしてアルゼンチンの同胞ソリンや、ボール回収屋のマルコス・セナが背後を固め、FWフォルランとのホットラインを築くリケルメは、大人になったいま見ても最高にかっこよかったです。

ちなみに、この試合はリケルメの終了間際のPK失敗により、ビジャレアルが敗退。観客席からはチームのニックネーム『イエローサブマリン』の由来となった、ビートルズのイエローサブマリンの大合唱でリケルメに寄り添いました。

この試合後にリケルメが語った「ここで負けたら、僕たちのことは誰も覚えていないでしょう。人は勝者しか記憶に残さない。敗者のことは忘れてしまう」という言葉は知っていました。

ガラケー時代だった当時、サッカー選手の画像に名言を添えた待受画像が流行っていて、そこにあったのだと思います。

でも、僕はこの言葉には同意しかねます。

多くの人がリケルメがビジャレアルで築いた王国を覚えているからこそ、スペインの片田舎から遠く離れた日本でも、この一戦が再放送されたわけですし。録画もしていないし、どこでも再放送されていない、ベスト8で早々に敗退したドイツW杯のアルゼンチン代表は、いつまでも僕の記憶から消えていないので。

時代は移り変わり、ファンタジスタが輝ける場所が少なくなっています。希少な選手だからこそ、いつまでも眩しく見えるんだろうなぁ。

次回の『カカロニ・すがやの“熱”Football Watch!』は、3月18日(月)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
 
カカロニ・すがや
1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter:@sugayazinho instagram:sugayazinho