Vシネマでいろんなおじさんを研究

ニュースクランチで連載中の『この探偵、犬かもしれない』について、まずこの漫画を描くことになった経緯から話を聞いた。

▲『この探偵、犬かもしれない』(小社刊)

「以前、Twitterに上げた“中年男性とマスコットのコンビものが見たい”っていう落書きがあって、それを練り直した感じですね。外見は小さくって可愛らしいけど、中身がそれに伴ってないキャラが好きなんですよ。

▲『この探偵、犬かもしれない』第2話より

それで、“中身がおじさん”っていう設定が出てきました。渋い俳優さんみたいな感じがいいんじゃないかと思って、Vシネとか見て、いろんなおじさんを研究しました」

▲『この探偵、犬かもしれない』第3話より

この漫画はギャグやキャラクターも魅力的だが、犬の表現がリアルなところも見どころだ。実際に犬を飼っているヤシンさんだけあって、飼い主視点から見た犬の可愛さがよく表現されている。

「飼っている犬に、私の専属モデルをやってもらってます。乾の顔の角度とかで困ったときは、犬の顔を見ながら描いてます。第8話の乾の寝顔は、舌が丸まる感じとかリアルに描けました。“ポウッ”っていうのも、寝てるときに口の中で鳴くので、そう聞こえるんですよ」

▲『この探偵、犬かもしれない』第8話より

以前は線画のみアナログで描いていた漫画だが、現在はすべてデジタルで描いているというヤシンさん。1話を描くのに、およそ1週間ほどかかるそうだ。

「ネームがあって、セリフを全部打ち込んだ状態のものから1~2週間かけて作画してます。物とか人間キャラが多いと、ちょっと時間がかかって苦しいんです。乾の顔ばっかりのときはボーナスステージだと思って描いてます。8話は乾ばっかりだったのですごいうれしかったです(笑)。

私、下描きをすごく丁寧にするタイプだったんです。あるとき、下描きをそのまま線画にできるデジタルのほうが早く描けるんじゃないか、と気づいたんです。それから描くのがめちゃくちゃ早くなりました。

色塗りに苦手意識があるんですが、デジタルだと色の調整がきくのでうれしいです。
アナログだと色が合わないとき、イチからやり直すってなったら大変なんですよ。
デジタルだとやり直しにも勇気が出ますね」