サロンは人数を絞るより広げたほうが濃くなる

――「てつのヤツ、儲けやがって」みたいな意見もあるようですが。

どうとも思わない。なーんにも影響しない。

てつ それってコーラを売っている人が、「なんでコーラを100円で売ってるんだよ!」って、つめられているのと同じです。何がダメなの? 詐欺だ、宗教だと言われてるけど、そういうふうに書き込む人……その人の認識が追い付いていないだけ。経費とか運営の取り分とかに頭が回ってないわけでしょ。反発心は理解できるけど、ほっとくしかない。どうとも思わない。なーんにも影響しない。

――それぐらいのことでビクともしない資産価値があるぞ、と。

てつ 『100日後に死ぬワニ』でも“電通案件だ”って言って騒いでる人たちがいましたよね。あれだって僕は「稼いで何が悪い」ってスタンスです。「100日間、毎日連載を続けて、自分の資産価値を高めたじゃん!」「プロモーションして何が悪いの?」って。逆に怒っている人ってやっぱり今の世の中の認識に追い付いていない。良くも悪くも純粋というか、悪く言えば、認識がなさすぎる。

――なるほど。では、実際にサロンを始めてみて、てつさん自身が学んだことはなんでしょう?

てつ 最初は、「人数を絞らないと目が行き届かなくなる」って思ってました。でもすぐに気づいたのは、「人数が多いと逆に濃くなる」ということ。会社と同じで、10人しかいない会社では10人分しかアイデアが出てこない。でも3000人だとたくさんアイデアが出るし、特殊能力がある人の割合も多い。あと、サロンだとみんな向上心が高くて尖ってないから、腹を割って話しやすいというのも大きいなって。僕がいないトピックでもいろいろな話が進行してるんで、ひとつひとつが形になっていくのが楽しみです。

――いらっしゃいますよねー、オンラインサロンの機能にすごく詳しい方。委員長タイプというか、オフ会のスケジュールもビシっと仕切ってくれて。

てつ サロンって、学校に例えるとわかりやすいですよ。偉そうに聞こえるかもしれないけど、僕がクラスの先生。みんなが生徒。委員長もいる。僕は1日に一回は必ず資料は提供する。つまり授業ですよね。授業が終わったあとには、部活に行く人がいる。野球部、吹奏楽部、卓球部、そして帰宅部もいる。帰宅部はくっちゃべってるだけなんだけど、それだけでもいろんなものが生まれる。その価値ってひたすらにデカいわけで、「人数を絞るより広げたほうがいい」って、サロンをやって気づきました。言い換えれば、サロンのメンバーに教えてもらった感じです。

――「逆に濃くなる」ってそういう意味ですね。なるほどー。私もサロン内の「出版プロジェクト」のお手伝いをさせてもらってますが、メンバーの皆さんの自由な発想に驚きました。我が社の新人に見せたくなるぐらい、質の高い企画ばかりで。

てつ それも人が多いゆえ、ですよね。なかには只者ではない人がいる。妙に専門家の割合が高い(笑)。法律家もいるし、モノグラフニ(研究)にやたら詳しい人もいる。ネットに詳しい人もいて、サロンの運営を助けてくれる。委員長みたいに仕切ってくれる人もいる。サロンの入り口を最初から絞っていたら会えなかったかもしれないと思うと、途中から解放してよかったなって思っています。中にはついていけないって退学する人もいるけど、それはそれで自由な選択肢。辞めた人で「俺には合わない」「価値を感じない」と言うのも自由。だいいち、「みんながいい」と思うのは不自然ですよね。無理に続けたら、その人の大切な時間を削ることになるし。

――退学された方の書き込みで印象的だったのは、「僕は退学するけどサロンとは何かわかった。価値があった」という意見。あーこの人は頭がいいなって。一方で、てつさんは動画実践以外の来店の“無期限休止”を宣言しました。地方に行く回数が減ることを、心配する人もいます。「ホールで会えなくなるよー」と。

てつ そこは「ごめんなさい」しかない。そこまでフォローできません。最終的には、僕はキャラクターとしては引退したい。表に出る仕事はすべて卒業したい。自分のやりたいことをやっていく準備は整ったので。あとは好きにやっていきたいです。ほんと、自由に。