近年、和菓子の「おはぎ」がスーパーフードとして注目を集めているのはご存知でしょうか。お彼岸などに食べることが多いですが、コンビニなどでも売られていることから、和菓子のなかでも身近な存在であるおはぎ。

そんな「おはぎ」の魅力について、この春、代官山でおはぎ店『の・はぎ』を開店させた、宇野コーヘーさんに聞きました。

海外からも注目され始めている「おはぎ」

そもそも「おはぎ」の定義とはどういうものなのでしょうか。ぼたもちとはどう違うの? と思われる方も多いかもしれません。定義としてはもち米やうるち米をつぶしたものに、あんこをまぶしたものが「おはぎ」と呼ばれているそう。

気になる「ぼたもち」との違いは諸説ありますが、基本的には同じ原料の同じ食べ物の呼び名違いと言われていて、そのルーツは江戸時代にまで遡るそう!

そんな「おはぎ」がスーパーフードと呼ばれる理由について、お店を開店するにあたっておはぎを調べ尽くし、「一時期は嫌いになるくらい」食べ尽くしたという、宇野さんが説明してくれました。

「おはぎは、低脂質・高たんぱく・低カロリー、それでいて食物繊維も豊富なんです。おはぎの原料である小豆には、ビタミンB群・ポリフェノールが豊富に含まれていて、糖の代謝を促してエネルギーになりやすい。

そのため、アスリートや、体づくりのために運動している方に特に好まれ、スーパーフードとも呼ばれているんです。実際、僕の知り合いに格闘家やアスリートの方がいるんですが、減量中やトレーニングの前後におはぎを食べる方も多いみたいですね」

▲おはぎは体づくりに最適のスーパーフード イメージ:bluet / PIXTA

昨今の世の中の動きにも、おはぎは適しているそう。

「海外ではよく聞きますが、日本でも肉や乳製品、卵などの動物性食品を避けるヴィーガンの方が増えています。おはぎからは植物性のたんぱく質が摂取できるので、肉や乳製品、卵などからたんぱく質を摂取できないヴィーガンの方にもオススメです。あと、おはぎは動物性たんぱく質・脂質が含まれないので、消化の際に体に負担がかかりづらい。お子さんのおやつとしても喜ばれると思います」

近年、和菓子ブームの影響もあり、おはぎの人気は高まりつつあります。小麦を避ける人が増えている今、「グルテンフリー」スイーツとしての側面も注目されているようです。

「肌荒れとか体調不調の原因を小麦と考えて、食生活をグルテンフリーにする方も増えていますよね。甘いものは食べたい、でも洋菓子には小麦が使われていることが多い、どうしよう? という方にオススメしたいのがおはぎです。“こんな身近にグルテンフリーのスイーツがあったのか!”と、これから世の中にバレていくんじゃないか、と思っています(笑)」

近年インバウンドの影響もあり、日本食への関心が海外でも高まりつつありますが、実際に海外の方の「おはぎ」の認知度はいかほどなのでしょうか。

「日本食は海外でも人気がありますが、おはぎに関してはまだまだ知られていないようです。なんせ日本人でも、そのスゴさに気づいてないですから(笑)。

代官山という土地柄もあってか、僕のお店には海外のお客さんが多く来られるんです。海外のお客さんは、初めておはぎを食べるという方がほとんど。あんこのおはぎは、外見が黒く、海外では黒い食べ物はあまり馴染みがないからか、食べる前は抵抗を示す方が多いのですが、白砂糖も添加物も使ってなくいヴィーガンスイーツだと説明すると、めちゃくちゃ刺さりますね。

味に関しては、ほぼ全員が“美味しい!”と言ってくださいます。ヴィーガン、グルテンフリーの意識が強い、海外の食文化との相性も良いと思いますし、海外の方々に注目されるのも時間の問題だと思っています。その気になって、ビリー・アイリッシュにうちのおはぎを食べてもらうことが当面の目標になりました(笑)」

▲店主の宇野コーヘーさんは人気番組を担当する放送作家