ヤバめの動画を全部消したら1000本単位で消えた

麻倉:Vはじめるにあたって、最初に参考にした動画ってなんかあった?

キル:ジュキヤとかカルマとかかな。そもそもYouTubeをホントに見なかったから、自分がやる時に、どういう編集が面白いんだろう、って友だちに聞いて。こういう人たちの編集面白いよ、って言われて見た感じ。

麻倉:普段見ないんだ。

キル:だって俺が普段見るの、ゆっくり実況でNARUTO最強キャラランキングとか、あと都市伝説とか陰謀論、あと、ONE PIECE考察くらい。

麻倉:女の子のやつ?

キル:そうそう、あれ見てるからONE PIECEは新世界に入ったくらいから読んでないのに、動画を見てるからわかるっていう。だからいわゆる、タレント性が求められるYouTuber的な動画は今もほぼ見ないかな。だからそこが俺の強みであるし、弱みでもある。

麻倉:というと?

キル:Youtuber的な面白さじゃないところが気に入られてる、というのは強みだろうし、逆にYoutuberが好きな人には刺さらないのは弱さかなって。まあ、それは成長の余白があるってこと。インタビュー風に言うと。

麻倉:カッコつけてる(笑)。

キル:ここも、太字にしてね(笑)。

麻倉:ひとつ聞こうとおもったんだけど、今回話を聞くにあたって、キルの動画を見返してみおこうと思ったら、結構消えてて。消してるの?

キル:それはとんでもない事情があったのよ。最近、YouTubeチャンネルが消えそうになっちゃったから、ヤバめの動画を全部消したら、1000本単位で消えちゃった。

麻倉:なるほど(笑)。でもキルの企画は面白い。たまに“なんだこれ”ってのもあるけど。

キル:それはたぶん、どうしても思いつかない時の動画だと思う(笑)。俺は週一で投稿してるから、無理やり投稿したのは結構外れかも。毎日投稿してる奴とかはスゲーなって思うし、登録者数を増やすならそのほうが良いと思うけど、やっぱ絶対クオリティは落ちると思うのよ。でも俺が毎日投稿して、クソつまんない動画が増えて、面白さのアベレージ下げるのは嫌だなとも思う。難しい。

麻倉:いや週一でも凄いよ、よく企画考えてるよね。

キル:さっき、YouTubeは見ないって言ってたけど、YouTubeショートとTikTokは意識的に見るようにしてて。俺、編集作業はしてないし、配信も2時間ぐらいしかやらないから、あとの時間は全部暇なんすよ。だからずっと見てて、流れてきたものから影響受けて企画にしたり、あとは友達と喋ってたところから企画にしたりしてるかな。トークテーマの1個で出たやつを、そのまま企画にしちゃったりする。思いついたら、すかさずメモるようにしてる。

麻倉:ええ! 偉いんだけど。これ良いギャップだよね。

キル:横動画は即興でやるんですけど、YouTubeショートは台本を書くんすよ。過去に書いた台本とか、企画案はす全部保存してる。

麻倉:また見直しました。

キル:そうよ、こんなにも才能あふれる人間が努力して、やっと飯を食える場所ですから、YouTubeは。

麻倉:じゃあ結構お稼ぎになられてる…?

キル:それは誰と比べて? って話よ。そりゃ稼いでいるけど、それは自分の中の“これくらい稼げたら良いな”の基準値を越えた、ってだけだから。登っていくと常に上はいるじゃん。1年前に、“こいつらには登録者数届きそうだな”と思ってたやつらには届いたけど、いざ届いたら次はもっと上のやつに届きそうになってるわけ。だから常に足りてないし、稼ぎで言うと、こういう活動していると、なんか偉そうなおっさんと仲良くなる事もあるんすよ。そういう人達に比べたら、全然金ねえな、って思うし。

麻倉:モチベーションってお金?

キル:これはよく言ってるけど、まず、おもんない奴がいっぱいいるじゃないですか。それで、おもんないのに、俺より人気の奴もいっぱいいる。でもたとえば、俺のこと知らない人が、俺のこと見た時になにで判断するかっていうと、登録者数とアベレージの再生数なわけ。そこで、“頑張ってる”とか、“趣味程度でやってるんだな”って判断されちゃう。ただ息が長いだけで、俺より数字を持ってて人気があるって判断されるやつがいるのがシャクで仕方なくて。“そういうやつら全員ぶっ殺す”って書いたらXが凍結されちゃった。

麻倉:つまんないやつが評価されているのがイヤ?

キル:いや、そっちは勝手にやってくれて良いんだけど、そっちよりもおれが明確に評価されてないことの方が、我慢できねえのよ。自分は面白い、っていう自信があるから良いんだけど、でも現状、負け犬の遠吠えにしかなんないじゃん。名実ともにそいつらを越して、“お前、ほんとにおもんなかったんだな”って、負い目を感じずに言いたい。俺が登録者数100万人いないのはおかしいと思ってるから。

▲イケメンな見た目とは裏腹に、切れ味鋭いトークを見せてくれたキルシュトルテ
【麻倉瑞季による注釈】

※1 葛葉
登録者数180万人超えのにじさんじ所属男性バーチャルライバー。彼がAPEX配信をする際、突発でメンバーを募集。これにキルシュトルテがいち早く反応し、配信に参加。これがキルの第一次成長期。

※2 AVスプラ
説明するのが憚られるくらいひどい事件。各自ググってください。大炎上した配信企画。