卒業論文のデータを消しちゃったこともあるんです

完全無欠に見えるクールな吉田も、中盤ではある重大な失敗をおかしてしまう。しっかりとしつつもどこか抜けている吉田には、シンパシーを感じる部分もあった。

「吉田はしっかりしている分、ハプニングに弱いんですよね。そんなところが人間らしいと思って、失敗してしまうシーンは、私自身、すごく楽しみにしていました。私は日常のなかでやらかしてしまうことは結構あるので、共感した部分でもあります。卒業論文のデータを消しちゃったこともあったので……(笑)。

あのシーン以降は、山田の映画作りの情熱に巻き込まれながらも、それを応援したり、吉田自身もやりたかったことをしていきます。ぐんぴぃさんが演じる山田が、想像以上に自由で突き抜けたお芝居をされていたから、自然と心が動かされていきました」

印象に残っている撮影時のエピソードを尋ねると、現場の雰囲気の良さが伝わる想像の斜め上をいく話が飛び出した。

「撮影現場は和気あいあいとした雰囲気でした。ぐんぴぃさんは叫ぶシーンが多かったので、カラフルなのど飴がたくさん入った袋を『もしよかったら、召し上がりますか』とお渡したんです。すると『えー! 本当ですか!! 嬉しい! じゃあこれ、全部食べちゃいますね』って、のど飴を口いっぱいに頬張ったんです…(笑)。そのときは、ぐんぴぃさん自体が怪獣に見えました(笑)。そんなふうにして、喜びを表現してくださったのにも嬉しかったですし、現場を明るく和ませようという気持ちに胸がいっぱいになりました。現場全体を引っ張っていらっしゃって、ありがたかったですね」

お嬢様に振り切った役にも挑戦したい

近年では、小学生の頃から習っていた馬術を活かし、『競馬BEAT』のMCに就任。舞台やドラマの稽古、番組の収録と日々、現場を駆け巡ってきた。そんな菅井が、今後どんな活動をしていきたいかは気になるところだ。

「2024年は今までになく、映像作品にチャレンジさせていただく機会が多かったんです。舞台の生の良さはもちろんあるのですが、映像作品は一度に見ていただける方の数の違いを肌で感じました。ですので、もっと経験を重ねて、世界中の方々に見ていただけるような作品に出られるようになりたいと思いましたし、今レギュラーを務めている仕事も、“菅井に任せてよかった”と思っていただけるように期待に応えていきたいです」

具体的にチャレンジしてみたい作品のイメージについても語ってくれた。

「このごろは、観た後に、“日常の一瞬一瞬を大切に生きよう”と思えるような映画作品に心を動かされることが多いんです。例えば最近、以前観たことがあった『湯を沸かすほどの熱い愛』を改めて観たのですが、年齢を重ねてから観ると、母親側の気持ちになってみたりと、また違った理解が深まったんです。

今を大事に生きたいし、たくさんの愛を人に注いでいきたい。優しさに気づける人になりたいな、と改めて思いました。そういう日々の幸せを感じられたり、温かい気持ちになれたりするような作品に出演できたら良いなと思っています」

また、『怪獣ヤロウ!』への出演が、新しい可能性に気づくきっかけにもなった。

「今回『怪獣ヤロウ!』に出演させていただいて、コメディー要素が強い作品も楽しいな、と感じました。わがまま令嬢役などもいただけたら嬉しいです。声を褒めていただくこともあるので、声のお仕事にも挑戦していきたい。自分の個性だと言っていただけるものをもっと出していけたらと思っています」

最後に2025年の目標を聞くと、丁寧に言葉を紡ぎ、思いのたけを教えてくれた。

「2025年はこの世界に入って10年目になります。ここまで続けさせていただけてありがたいですし、それも応援してくださる方々のおかげです。お仕事を通して感謝を伝えられる年にできたらと思います。プライベートでは、しばらくジムに行けていなかったのですが、最近また通い始めています。トレーニングをきちんと続けられる2025年にしたいですね」

(取材:吉田 真琴​)


映画『怪獣ヤロウ!』
出演:ぐんぴぃ 菅井友香 手塚とおる 三戸なつめ 平山浩行 田中要次 麿赤兒 清水ミチコ
監督・脚本:八木順一朗
公式サイト:映画「怪獣ヤロウ!」公式サイト
〇映画『怪獣ヤロウ!』スペシャル予告編