「行動しちゃえ!」という人が上手くいく理由

新 保 ですが、会長のように「できます!」と言うことによって、実際にできることが増える、っていうことはきっとありますよね。

佐々木 ええ、そうなんですよ。それでプレッシャーの中で悶々としながらも、やっぱりものすごいエネルギーが生まれる。だから、僕は怖いもの知らずで「できます!」って言うところが、今の自分の原点の考え方なんです。絶対諦めないですからね。

新 保 ご自分でおっしゃったことに責任を持っていらっしゃる!

佐々木 絶対に諦めない。でも、大失敗もする。だからこそ、「今度はこんな悔しい思いしたくない」という想いで、少しずつ仕事を覚えていくわけですね。だからやっぱり、行動力というか、まず「行動しちゃえ!」っていう人のほうが結局上手くいくといいますか。もちろん、失敗もしますが、ずっと考えるだけでいざ行動しない頭のいい人もいっぱいいますから。

新 保 せっかくだったら「行動しちゃえ!」ということでしょうか。

佐々木 そうですね。ただし、やっぱり僕に限っては大失敗するので、今は失敗したときのブレーキのようなものが潜在意識に入っています。だから、「こういう人と中途半端なビジネスをやっても上手くいかないぞ」といった具合に、あのころのすべての失敗が生きて、現在のプロラボにつながっていくわけですけど。この世の中で、トップが撤退したら、残された人はどうしたらいいんだっていう修羅場も経験しましたし……。

新 保 修羅場、ですか……。

佐々木 そのなかで、特に強烈な体験っていうんでしょうか、破産しそうになったときに、カードが全部止まったとか、電車賃もなくなってしまったとか、飯が食えないってこんなに大変なんだ、と身をもって知りました。一時期は、健康保険証もなかったので、子どもが風邪をひいても病院に行くと10割負担なわけじゃないですか。だから家族も不安だっただろうし。でも、そんなつらい経験の中で、いろいろこれをやっちゃいけないとか、こういう姿勢でこうやらなきゃいけないとか、たくさんの意義あることを学べたっていう点では、本当にいい経験をしましたよね。

新 保 想像を絶する体験ですね。

佐々木 先日、関西テレビの『ウラマヨ!』という番組で、その話をしたんですけど、1年間で7000万ぐらい引っ掛かったんですね。そして銀行に返済ができなくなって、そこからもう本当に経営状態がどんどん厳しくなっていって、人は辞めるわ、会社は縮小するわ。ただ、破産したらどうなるかっていうのも怖かったので、銀行に手紙を書いたりしつつ、少しずつ返ししながら、なんとか待ってくださいってお願いをして。結局、最後に4億円ぐらいを返し終わったときに、びっくりされちゃったんですよ。

新保 貸している側の銀行にビックリされたんですね。先方は返済できると思わなかったってことでしょうか?

佐々木 そうですね。逆にびっくりされちゃって(笑)。それが今から6年前ぐらい前です。

▲佐々木会長の飾らない性格も多くの人を魅了する武器と言えるかもしれない

新 保 たった6年前ですか!ちょっと信じられないです…。

佐々木 だから、本当にまともになってからまだそれぐらいしか経っていないんです(笑)。それまでの僕でやっぱり良くなかったのは、人のせい、銀行のせい、世の中のせいにしていたことですね。「なぜ誰も僕の熱い想いを分かってくれないんだ」という風に、自分以外のせいにしてるうちは絶対開けてこなかったです。やっぱり、「すべては自分が原因だった」ということに気づくこと。あと、「なんのために会社をやっているのか」がわかっていなかった。つまり、目的がなかったわけですよね。なんのために、誰のために……そういうことを、ちょうど37、38歳ぐらいから少しずつ考えるようになりました。僕は誰よりも長時間働くし、誰よりも努力することはできるんですよ。でも、なんのために、誰のためにっていう目的意識がなく、ただ長時間やってきた。だから、上手くいかなかったんだってことに気づいたんです。