《第19話》「チートデイで大混乱した女の末路」
「だから言ったじゃないですかー」
後輩・伊藤ちゃんが私に言った。
3週間ほど前のことだ。伊藤ちゃんから「このままだと先輩、痩せなくなりますよ?」と、恐怖の予言をされたのは。
そして、その予言は見事に的中し、ダイエットをしているにも関わらず私はここ3週間、一切痩せられていない。もうかれこれ3週間、ずっと微増と微減を繰り返している。
体重の最小値は、3週間前に出した10キロ痩せるまで、あと4キロと、いうところから一切更新できていない。
今日の体重に至っては、10キロ痩せるまで、あと4.6キロという状態……。
これまでなんだかんだ3週間も体重の最小値を更新できなかったことなんてなかった。
体重が停滞する前は、めちゃくちゃ順調だったのに……。
真面目にやってるのに。食事もちゃんとメンテナンスカロリーから下回るようにしてるし、なんなら今までよりも食べてるカロリー低いし、有酸素だって一日一万歩歩くようにしてるし、なんなら週に一回ジムだってサボらずちゃんと行ってる。
全部ちゃんとやってる。偉くない? 偉いよね?
なのに……
なのに!!!
なのに体重が減らない!!
……いやいやいや。実は、全然平気なんですよ。だって、別にね〜。たかがダイエットですよ?全然いいんですっ! 痩せなくたって、もっと楽に行きましょ〜。平気です平気です〜! 体重が減らないからって死ぬわけじゃないんだから〜

「いや、発言と表情が違いすぎるでしょ」

「いや、何がじゃねーよ。絶対自覚あるだろ」

「……千切れる千切れる。唇食いちぎる気ですか?」
「だって! 体重減らないんだもん!! 真面目にやってるのに!!」
「それです。原因」
……は?
「真面目にやってるから、減らないんです」
どういうこと??
さっき一瞬先輩に向かってタメ口で「いや、何がじゃねーよ」とか「自覚あるだろ」とかちょっと失礼じゃね? 的な発言があったことはさておき、真面目にやってることが原因って、どういうこと???
「先輩、今までほとんど食事管理だけで順調に痩せてきてたんですよね?
見た目もスッキリしてきてますし、脂肪が落ちてきてることは間違いないです」
おお……なによ。唐突に喜ばせてくるじゃないかよ、この子。
さっきの発言の件は水に流そう!(ちょろいな自分)
「問題なく体重落ちてたのに、そこで有酸素しだしたでしょ?」
伊藤ちゃんが言うには、食事管理だけで順調に落ちてたのに私が「月1キロペースじゃなくて〜、月2キロペースで体重を落とした〜い」と欲をかいて、真面目に有酸素をしだしたことが、体重が減らない原因だと言うのだ。
えー……
それおかしくない??
だって、有酸素運動って痩せるって言うじゃん……。
「確かに有酸素は痩せます。運動で一番痩せるのは有酸素って言っても過言じゃないくらい有酸素運動には効果があります。1日1万歩目安で歩くっていうのはなんら間違ってないです」
間違ってないんじゃん。
いやいやいや、じゃあなんで痩せないの??
え?? もうわからないことだらけなんですけど。
「有酸素やりだしてすぐの頃って順調に落ちませんでした?」
確かに、1日1万歩を意識して歩くようになってから1、2週間くらいで1キロほどスルッと落ちた。
「で、その後ビタっと止まったでしょ」