待って待って待って。
その話は前回終わったはずでは??

「あなたが良いなら言わないで良いと思ってたけど、やっぱり……どうしてもこのままは気持ち悪いです!」

いやー……私は正直このままでお願いしたいんですけど……

「会うと気まずいんです!」

落ち着いてよー。気まずくないってー……。

「僕……」

やめよ?

「実は……!」

やめてー……

「あなたの!!」

告白だけはやめてーーーー!

「お隣さんなんです!!」

 

……は?

「ずっと言おう言おうと思ってたんです! でもあなたは最初に喫茶店で会ったには気がついてなかったみたいだし、別に言うことでもないかなーと思ってたんですけど、でも! 家の前で会っちゃったりとかしてすごい気まずくて! なんか僕あなたのことつけ回してるみたいに思われてないかなとか思うと、なんかキツくて! 逃げちゃって!」

とアツオが長々と語る中、私の頭の中ではいろんな点と点が繋がり始めていた。
アツオはこの間、私と会ったのは初めてじゃないと言った。
それは、どこで会ったのか。
間違いないあの時だ。

(数ヶ月前――)

 

私がダイエット絶好調期から一転、
がっつり停滞期になったころ、
すれ違ったお隣さん(第18話)。

あれは……!! あの時すれ違ったお隣さんは……!!

 

アツオだ!!!

そういえばモッちゃんからアツオを初めて紹介してもらった時(第21話)、

アツオは
「いやいや、単純に見てて心配だったんですよ。めちゃくちゃ暗い顔してたから」
と、言っていた。あれは……!

 

この顔のことか!!!

私の住むマンションの前で何度か見かけたのもお隣さんだから当然!

私の住むマンションに入って行ったのを見かけたのもお隣さんだから当然!

いや……ストーカーでもなんでもなかったーー!!!

てかそれどころか、アツオは、
私のこと好きでもなんでもなかったーーー!!!

 

恥ずっ!!!!!!!!

この勘違い、恥ずすぎる!!!!!
正直安心ではあるんだ! 恋愛とかじゃなくてよかったと安堵してはいる。
でも……、でも恥ずい!!

私が安堵感と羞恥心の狭間で頭グチャグチャになる中、アツオは……

「いやー! 言うタイミングずっと逃しちゃってて! やっと言えましたよ! これでストレスなくなりました! ストレスって筋肉に悪いですからね! 筋肉のためにどうしてもちゃんと言っとかないとって思ってたんです!」

こいつ……たぶん……

「筋肉が大事なんですよ! 何よりも! ほんとストレスって筋肉の敵でしかないですからねー!」

筋肉のことしか愛してねぇ……!!

恥ず過ぎて消えて無くなりたい。
脂肪と共に、消えて無くなりたい。

10キロ痩せるまで、あと1.4キロ──

(第25話につづく……2025年6月12日公開予定)

※本記事は、WANI BOOKOUTにて公開された記事を再掲載したものです。