国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!

半島有事になれば日本もダメージ

憲法9条では、北朝鮮のミサイルを防ぐことはできない――。このことがようやく周知されつつありますが、いま何が起こっているのか、よく分からないまま、日々の生活に追われている方が大半のようです。

しかし、この北朝鮮危機はわが国にとっても極めて深刻です。

これまでの日本の総理大臣は安全保障に疎く、こうした軍事問題になると、蚊帳の外になることが多かったのですが、安全保障に詳しく、かつトランプ大統領とも個人的な信頼関係を築いている安倍総理はトランプ大統領とも密接にやり取りをしています。

終戦記念日の8月15日、昼に日本武道館で執り行われる全国戦歿者追悼式を控えた安倍首相は、午前10時27分から55分まで、トランプ米大統領との9回目の電話会談に臨みました。

ここでのポイントは、5つあります。

第一に、トランプ大統領は表向きの強硬姿勢とは異なり、北朝鮮に対する爆撃よりも、交渉を優先的に考えていること。

第二に、トランプが北朝鮮に対する爆撃に消極的なのは、マティス国防長官が反対していること。つまり、米軍はできれば戦争をしたくないと考えていること。

第三に、マティス国防長官が北朝鮮爆撃に消極的なのは、「準備が整っていない」こと。戦争というのは、莫大な武器弾薬と人員が必要です。米軍は2017年の春からその準備を懸命に始めていて、まだ、その準備が整っていない、ということなのです。

第四に、トランプは2017年のクリスマスを期限に、北朝鮮と交渉しようとしていること。その条件は、核兵器かICBMか、少なくともどちらか一方を放棄してもらうというもの。これは、アメリカ本土を核攻撃できないようにするならば北朝鮮を核保有国として認め、平和協定を結ぶこともあり得るということです。ただし、日本からすれば、北朝鮮から核攻撃を受ける脅威が残るということになり、由々しきことです。

第五に、核兵器もICBMも放棄しないならば、クリスマス以降、アメリカは北朝鮮に攻撃を仕掛ける。つまり戦争になるかもしれないということです。

日本も決してスルーできない北朝鮮危機 イメージ:PIXTA

安倍総理は、早期攻撃をトランプが思いとどまったことを評価しました。

実際、安倍首相のもとには、米朝有事の際に日本が被ることが予測されるリスクが報告されていた。

・日本国内でのテロ
東京を始めとする大都市の繁華街やイベント会場、新幹線の車内などで、北朝鮮の命を受けたテロリストが爆破テロを起こす。このところヨーロッパで頻発しているケースだ。

・在日米軍への攻撃
アメリカは、日本政府の意向を考慮することなく在日米軍を参戦させることが予想される。そのため、北朝鮮攻撃の前線基地となる三沢基地、嘉手納基地、岩国基地とその周辺に、北朝鮮のミサイルが飛来する。

・在韓邦人の被害
北朝鮮軍の韓国に向けた砲弾や侵攻によって、約3万8000人の在韓邦人が危険にさらされる。ところが、文在寅政権は自衛隊の韓国領内進入を「断固拒否」しており、在韓米軍も自国民以外の救出には消極的だ。

・中国軍の南下
米朝開戦になれば、中国人民解放軍が中朝国境の鴨緑江を突破して南下してくるのは必至。そうなると尖閣諸島は無論、九州北部の手厚い防衛が必要になる

[「週刊現代」平成29(2017)年9月9日号]

日本のマスコミの大半は、トランプがいつ北朝鮮を攻撃するのか、といったどこか他人事で報道していますが、半島有事になれば、日本も多大なダメージを受けることになるのです。

※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。

『国家の命運を外国に委ねるな!』は次回5/26(火)更新予定です、お楽しみに。