国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!

アジア太平洋の平和と自由を守るために

アメリカのトランプ政権は人事のゴタゴタが続いていて、いろいろと問題が多いようですが、アメリカ経済は好調です。経済が良ければ、政権内部のゴタゴタがあっても支持率はさほど下がらないものです。

日本にも自民党の他種々野党があるように、アメリカも一枚岩ではなく、多様な政治勢力が存在しています。政党としては、主として次の二つの政党が存在します。

  • 中小企業や熱心なキリスト教徒に支援され、経済発展や道徳を重視する保守系の共和党
  • 労働組合や少数民族出身者たちに支援され、福祉や人権を重視するリベラル系の民主党
民主党と共和党 イメージ:PIXTA

そしてトランプは、共和党なのです。このトランプ政権の間に、日米関係は大きく変わっていく可能性があります。特に「日本は侵略国家だ」とする東京裁判史観を見直す契機になるかも知れないのです。

戦前、日本を追い詰めたのは民主党政権先の戦争のとき、日本が戦ったアメリカの政権は、ルーズヴェルト「民主党」政権でした。

このルーズヴェルト政権は「アジアで戦争を起こしているのは日本であり、アジアを平和にするためには、日本を弱くすべきだ」として、日本を敵視し、ソ連や中国を擁護する外交政策を展開していました。

しかし、当時のアメリカの対アジア貿易の大半は日本相手であり、アメリカの経済界は日本との連携を強化しようとしていました。このため、ルーズヴェルト政権が日本を敵視していたことに対してアメリカの経済界や野党の共和党は強く反発していました。

フランクリン・ルーズヴェルト

アメリカのマスコミは基本的に民主党びいきで、ルーズヴェルト民主党政権批判の記事は紹介しようとしません。しかも厄介なことに、アメリカの官僚たちもサヨク・リベラル、つまり民主党びいきが多いのです。

サヨク・リベラルというのはいわゆる社会主義、つまり国益や家族よりも個人の人権が大事であり、道徳や神仏を嫌い、金持ちから多額の税金をとって貧しい人がいれば政府は福祉を提供すべきだと考える人たちです。

しかもアメリカの外交政策を担当する国務省には、サヨク・リベラルが多く、中国びいきなのです。対外情報機関のCIAもまた、どちらかと言えば、中国びいきです。日本で言えば、かつての民主党や朝日新聞を支持する人が国務省やCIAには多いのです。

アメリカと中国 イメージ:PIXTA

アメリカは自由主義の国であり、社会主義を掲げる中国とは敵対していると「誤解」している人が多いのですが、実際はそうでもないのです。

しかも2009年から2017年までの8年間、アメリカは、サヨク・リベラル系のオバマ民主党政権でした。このため中国びいきの国務省やCIAが対日政策を左右していて、安倍政権に対して防衛体制を強化することは認めるが、いわゆる東京裁判史観の見直しは許さない、という高圧的な姿勢が目立ちました。

「日本は侵略をした悪い国だという歴史観を持たないと、アメリカ政府は受け入れてくれない」

ところがトランプ政権の誕生によってこの構図が変わりつつあるのです。

トランプ政権が今回、北朝鮮に対して強硬姿勢をとった背景には、北朝鮮がアメリカ本土に届く弾道ミサイルと核兵器の小型化に成功しつつある、という安全保障上の問題があると言われています。しかし、もともとトランプ政権は発足当初から北朝鮮や中国共産党に対して厳しい外交姿勢を示しています。

それは何故か。このまま中国や北朝鮮をのさばらせていたら、アジア太平洋は戦争に巻き込まれることになると思っているからです。

アジア太平洋の平和と自由を守るためには、南シナ海や沖縄に対して軍艦を派遣し、軍事的挑発を繰り返す中国や、核ミサイルを開発して周辺諸国を恫喝する北朝鮮を何としても抑えつけなければと考えているのです。

そして、そのためにも、「日本にももっと軍事的に強くなってほしい」と、トランプ政権は日本に対して期待しているわけです。

※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。

『国家の命運を外国に委ねるな!』は次回5/19(火)更新予定です、お楽しみに。