国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!

尖閣・沖縄の危機に直結する朝鮮半島有事

よく「北朝鮮を攻撃したら反撃されてソウルは火の海になる」と言われますが、そうなった時には約百万人の犠牲が出ると言われています。暖かくなると、大量の死体を放置したら伝染病になります。ですから、米軍は2017年の春から野戦病院をどこにつくるのかという具体的な準備を始めていると言われています。

日米韓で北朝鮮を核開発阻止のための協議をしていますが、その協議のときに韓国側は日本に対して「慰安婦問題で未だに謝っていないではないか」「日本大使を韓国に戻さないのはおかしい」と言ってくるわけです。

問題は、そういう姿を見て、米軍の幹部たちが韓国に嫌悪感を覚えていることです。

米軍は北朝鮮の攻撃から韓国を守ろうとしているけれども、韓国で被害が出たら「米軍のせいで犠牲になった」とネチネチ言ってくるに違いない、こんな連中を助ける必要があるのだろうか――と米軍の幹部は思い始めています。

かと言って、韓国を見捨てるわけにはいかないのです。

韓国を見捨てたら、防衛ラインが対馬海峡になります。北九州は対韓国の軍事の最前線になり、日清戦争と同じ状況が九州を直撃することになります。福岡は国際観光都市ですので、安全保障のリスクが高まれば、観光にも大きなダメージになります。

韓国を見捨てれば防衛ラインは対馬海峡となる

長崎の佐世保の先の済州島に韓国海軍の基地があります。中国海軍はこの基地の使用を、韓国政府に再三申し入れてきました。2017年5月に極左と言われる文在寅が韓国大統領になったので、その要望は恐らく認められることになるでしょう。ということは、近い将来、対馬海峡に面する済州島に中国海軍の基地ができるということです。

朝鮮半島の本格的な軍事紛争が始まった場合、米軍は朝鮮半島に釘づけになります。そして、日本の自衛隊は、日本海側に展開してミサイルを撃ち落とすための準備をしなければいけません。

海上保安庁は、5万人とも言われる在韓邦人の救助と、韓国から来る難民船の対処で手一杯になります。そうなると南西諸島の警備がガラ空きになります。残念ながら、中国はその隙をついて尖閣諸島や南西諸島を攻撃したり、占領したりしてくるかも知れません。

これに対抗して安倍政権は、沖縄県の宮古島に地対艦ミサイル部隊の配備を決定したり、尖閣防衛のための海上保安庁の小型巡視船九隻の建造を進めているわけです。

とにかく朝鮮半島有事の隙に、中国に尖閣諸島を不法占拠されたりする事態になれば、今度は台湾が危なくなります。アメリカの保守派は台湾を支持しており、この保守派の支持を受けてトランプ氏は大統領になりました。

台湾が危なくなれば、アメリカの保守派はトランプ大統領を支持しなくなり、選挙で共和党は負けることになります。選挙で勝ち続けなければ政権は維持できませんから、トランプ政権としては、台湾や沖縄を危機にさらすようなことはできないのです。

要するに、トランプ政権の足を引っ張っているのは日本なのです。果たしてこの「自覚」がある日本人はどれくらいいるのでしょうか。日本の自衛隊と海上保安庁の人員が少なく朝鮮半島有事対応と南西諸島防衛を同時にできないため、トランプ政権は北朝鮮攻撃に踏み切ることができない、という側面があるのです。

※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。

『国家の命運を外国に委ねるな!』は次回5/12(火)更新予定です、お楽しみに。