衝撃を受けた攻守の切り替えスピード

ウォーミングアップの様々なドリブルを用いたサーキットトレーニングやパスコン(パス&コントロールの略。四角形をコーンで作ってパスアンドゴーをしていきます)から既にしんどい。なんせ少人数で回転が速く、トラップのズレ一つ(右足の前に止める、左足の前に止める、とかそれくらいのレベルのズレでも)も浮いてしまう。それを高速でやっていきます。

▲ドリブルを用いたサーキットトレーニング
▲ハイスピードの中、ボールを操っている選手たち

僕もヒーヒー言いながらついていきます。楽をしようと思えば、どこまでも楽できるメニューなのですが、当たり前にみんなが緊張感を持ってハイスピードでやっているので、こちらも負荷がかかりまくり。

▲パス&ゴーのパススピードと置きどころもすごかった

そして、メニューは3対3+フリーマン1のポゼッション練習へ。これが、今まで見てきたどのチームのボール回しよりも、圧倒的に強度が高い。特に攻守の切り替えの速さは衝撃的でした。

公式戦では、関東1部リーグであろうと面白いようにパスを繋げる日大のレギュラー陣が、何度もボールを奪われ、奪い返し、やり合います。

僕もゼッケンを受け取り、中へ。

そこで体感しました。

地獄とはまさにこのこと。

3人チームの中に僕が1人いるだけでとにかくボールが奪えない。本当に、全く、奪えない。

寄せてるよ。背中のコースも切ってる……つもり。

でもほんと引くくらいプレスを剥がされる。相手しているのがイニエスタ・シャビ・ブスケッツかってくらい。日大、上手すぎる……。

最終的にはどうにかパスコースを読み切って、決死のスライディングをした僕の足の上を軽く浮かしたボールがすり抜けていきました。

▲すがや決死のスライディングも届かず……

さっきまで、このレベルの人達がパス回しをして、あんなペースで攻守が入れ替わっていたの??

「すがやさんもう一本いけますか?」という田中慶汰選手の質問に、僕の中に住むリトルすがやは、肉離れを起こした選手のように頭上に大きなバツ印を出しています。

そして肺が張り裂けそうな胸で、「こ、これ…きついっす……」と言葉を吐き出します。

悔しさだけが残った紅白戦

今日の練習参加はこれで終わり、あとは見学だ。と、気が回る部員達にボトルをもらい、砂漠のラクダくらいの勢いで飲んでいると、田中選手が尋ねてきます。

「すがやさん、11対11やれますか?」

…!!!? 紅白戦!!!?

ぜっったいむり!!!!

……でも、ぜっっったい出たい!!!!

僕の中のリトルすがやと、なぜか僕の中に住んでいるリトルロナウジーニョがボールを蹴る蹴らないで揉めています。

そして結果的に、出場することに。ポジションは自己申告で3-4-3の右のウイングバック。学生時代の本職ですし、日大のサッカーを見てきた経験から言って、真ん中は360度見えてないといけないから、確実に目が回ってしまう。DFでは確実に大穴になってしまう。できるとしたらそこしかないだろう、と。

僕の一列後ろの松本大地選手はじめ、同チームの選手達が、

「なんて呼んだらいいですか?」

「僕は大地って呼んでください!」

という感じでコミュニケーションをとってくれる。チームの一員として扱ってくれて、とても嬉しい。そして、試合開始。

こちらがテンパらない穏やかな口調で指示をくれる松本選手。

僕も必死なので、

「大地!!!(マーク)渡すよ!!!!」

と声だけでも出します。

すがや「大地! 幅!!(をとって! 俺が内側に入ってスペースをあけるから)」

松本「すがや!!幅!!(をすがやがサイドに開いてとれ)」

すがや「はい!!(大地の判断を全面的に信じます!!)」

とかがありつつ、少ないながらボールを受ける場面も。でも、選手たちの強度と速さについていくことができませんでした。今でも全部思い出せます。それくらい悔しかった。

▲すがやも攻守に奮闘します(黄色ビブスの一番左がすがや)

日大流のポジションチェンジに必死で溶け込んで、ボランチと入れ替わるように中でボールを引き出して、相手の重心の逆をとって展開できそうな場面があったのに、ヘトヘトの足が言うことを聞かず、足がもつれて、バックパスするしかなくなった、とか。

シャドーの選手が降りたスペースに入って、縦パスを「普通に受けても潰される」と、ミシャ式(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の戦術)のようにスルーしたらFWが反応していなかった(声出しながらスルーしたら、FWも反応できたよな。知らない下手くその突然のスルーはそりゃ予期できないよな)とか。

松本選手が俺の内側を追い越していったから「やっと後ろで休める……」と、足を止めた瞬間に僕の前のスペースにボールが出た、とか。パスを出してくれた選手はAに呼ばれたばかりの選手だったそう。彼のパスを一つ潰してしまった。

特にこのシーンは、テレビの収録でスベッた時くらい引きずりました。サボらないしかできることがないのに。

そんな中で1本半、12分だけ。それでも90分より長く感じる12分を過ごして、限界を迎えBチームの選手と交代。

僕の中のリトルすがやと、リトルロナウジーニョが大きくバツを出して、担架を要求していました。

ただ、めちゃくちゃ楽しくて、めちゃくちゃしんどかった。

僕が抜けた後も、DFがついたシュート練習など、強度の高いメニューが続き、この日は終了。

▲紅白戦後も負荷のかかる2対1を行っていた

練習後に集合写真を撮ると、「カカロニ」で検索して、

「え!? 相方この人なんですか!!?」

とか

「ワールドカップでヘディングした菅谷さんですよね!」

とか言って、みんなで動画検索して盛り上がって、色んな雑談をしました。

練習が終わってグラウンドを出た瞬間からの彼らは、とても人懐っこい普通の大学生でした。金子選手もこんな感じだったのかな。

ピッチ内ではピリッとして、上下関係なく指示を出し合う選手達が、ピッチ外では、こちらも先輩後輩あまり関係なく先輩をいじったりしていて(そりゃ清掃も学年関係なくやるよね。という空気)、この空気感も日大の強さの秘訣なのかもしれません。

是非、そんな日大の魅力あふれる面白いサッカーを、生で見ていただきたいです!!

 

プロフィール
カカロニ・すがや
1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter:@sugayazinho instagram:sugayazinho