この春から体を鍛え直したい貴方に贈る“読む筋トレ”。アメリカをはじめとする世界の最新トレーニング事情から、筋肉を増やす食事法まで。超一流企業のビジネスパーソンは、筋トレで強靭な身体と精神を培っていた! 今回はアメリカのフィットネス文化を語るうえで外せないアーノルド・シュワルツェネッガーの物語。

映画の大ヒットでフィットネス文化が広がった

ボディビルの世界最高峰の大会オリンピアで6連覇を目指す28歳のアーノルド・シュワルツェネッガーが主人公のドキュメンタリー映画『パンピング・アイアン』。

それまでアメリカでは、ボディビルダーたちは変人だと思われていましたが、この映画が大ヒットした影響で「筋肉隆々はカッコいい!」「自分も鍛えたい!」というアメリカ人が続出しました。

▲1974年のシュワルツェネッガー(当時27歳)

シュワルツェネッガーは、間違いなくアメリカのフィットネス文化を創造した人物です。彼のおかげで、筋肉を鍛えることがアメリカ人の生活の一部となり、その影響で日本にもトレーニングジムが増えたのだと思います。

シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーは、オーストリアの田舎のシャワーもトイレもない貧しい家に生まれ育ちました。その貧しい生い立ちから、大きな成功を目指してハングリー精神を養い、常に困難に立ち向かって行きます。

そして、彼はトレーニングと出会い、所持金20ドル、英語も話せないにもかかわらずアメリカに渡ります。その後の活躍ぶりは、皆さんもご存じのはずです。

シュワちゃんは、ボディビルで世界の頂点を極め、ハリウッドスターの地位を築き、カリフォルニア州知事にまで上り詰めました。まさに彼は、筋肉美からアメリカン・ドリームを掴んだ男。筋肉ですべてを手に入れた男と言っていいでしょう。

僕が虚弱だった小・中学生の頃、父親がシュワちゃん主演の『パンピング・アイアン』を観ていたことがきっかけで自分もたちまちシュワちゃんの虜(とりこ)になりました。

当時の僕は、彼の筋肉ムキムキの身体とその強さは、この世の中でいちばんカッコいいものだと心から思っていました。

シュワちゃんに憧れていた僕は、シュワちゃんのようになりたくて、子どもながら我流で筋トレを夜中までしまくります。勉強はほとんどせず、その代わりにシュワちゃんの映画を借りてきて、それを観ては自分を鼓舞していました。

僕が中学生の頃は、タテ社会が強固だった時代です。柔道部の先輩たちから、僕たち下級生はいつも理不尽なしばきにあっていました。ただし、先輩よりも強い同級生が一人いて、彼だけは先輩からのしばきを免除されていたのです。僕は自分自身を守るためにも、「筋トレして絶対に強くなってやる!」と決心しました。

このような環境の中で育った僕は、筋トレして鍛えて強くなれば、自分の悩み事はすべて解決すると本気で思っていました。そして、「シュワちゃんはあらゆる困難を筋トレで乗り越えたんだ」と思うと、どんなことでも頑張れました。

過酷な環境でも諦めず、困難を乗り越えていくシュワちゃんの存在は、今でも僕の中でとても大きな存在です。

「困難を乗り越えた時が最高。だから、困難を乗り越える」―。

シュワちゃんの存在とこの言葉は、紛れもなく僕の原点です。

▲困難を乗り越えるために筋トレする イメージ:PIXTA

※本記事は、井谷武:著『史上最高のパフォーマンスを引き出す 知性を鍛える究極の筋トレ(マガジンハウス)』より、一部抜粋編集したものです。

『知性を鍛える究極の筋トレ』は次回5/28(木)更新予定です、お楽しみに。