研究によって証明されたマスクの有用性

そもそもマスクは本当に風邪からわたしたちを守ってくれているのでしょうか? その有用性を証明するために、世界中の多くの研究者たちがさまざまな研究を行ってきました。

実は、これまで行われてきた研究では、「マスクだけでは、風邪を予防することができない」と結論づけるものが多く、マスク愛好家たちにとっては、やや分が悪い状況だったのです。

しかし、それをくつがえしたのが2010年にミシガン大学のアリソン・アイエロー博士らが行った研究です。その方法は1,437名の学生たちを6週間観察して、マスクの力を確認するものでした。

このアリソン博士の研究によって、マスクをすると風邪を予防することができる、ということが証明されたのです。さらに、風邪の流行する季節にマスクを着けている期間が長ければ長いほど、予防効果が高いことが分かりました。

これまでは、マスクを着けているとなんとなく風邪を引きにくい気がする……という安心感はあったかもしれませんが、これで風邪を予防できる、と確信を持ってマスクを着けていたという方は少ないのではないでしょうか?

また、自分が風邪を引いたときは着けるけれど、元気なときはマスクをしなかった、という方もおられるかもしれませんね。ですが、これからは風邪の流行時期に風邪を予防したいならマスクをする、と覚えておいてくださいね。しかも、その季節の最初から最後までずっと着け続ければなおよし、ですよ。

▲マスクの正しい着け方、ご存知ですか? イメージ:PIXTA

マスクの正しい着け方、ご存知ですか?

とはいえ、せっかくマスクを着けていても、その着け方が正しくなければせっかくの予防効果も十分に期待することはできません。風邪の原因である細菌やウイルスは目に見えませんから、無事にマスクで侵入を防げたかどうか目視で確認することができないため、なおさらです。

もし、あなたがマスクで風邪を予防したいと考えているのならば、気をつけるべきは細菌やウイルスがマスクと肌の隙間から入ってこないように、しっかりとフィットさせることです。

最近では、3D構造をした立体型マスクが店頭に何種類も並んでいますね。これがマスクと肌の間に隙間ができないようにするためのマスクです。

国立病院機構東京病院が、2004年に行った研究でも、マスクにおいて大切なのはその種類よりも、「しっかりと」装着することだと、強調しています。

わたしたちの顔は、鼻や頬、そしてあごまわりなどに凹凸がある立体的な構造をしていますから、それらをうまく覆うようにしてマスクを着けることがポイントになります。

ちなみに、外科医が手術中に使用するマスクは、上の部分に金属が入っているので、鼻と頬の凸凹にぴったりフィットさせることができます。

さらにマスクが通常のひっかけるタイプではなく、4つの角に独立したヒモが計4本付いているので、上の2本を耳の上から後頭部へ通してしっかりと結び、下の2本をあごの下から耳の後ろを通って頭の上で結ぶようにします。こうすることで、マスクをしっかりと顔にフィットさせて、マスクと肌との間に隙間ができないように気をつけているのです。

手術には、する方もされる方も、あらゆる病気感染の危険が伴います。もちろん、対策はマスクのみではありませんが、患者さんと医師、双方の身を守る上で正しく、ぴったり隙間なくマスクを装着することは必須なのです。