相手の心を“指一本の長さ伸ばして測る”

さて、「忖度」の意味ですが、これは「他人の心を推し量ること」です。使い方としては「相手の真意を忖度する」というように使われます。

「相手は本当のところ、どんなふうに考えているのかな」というようなことを推量するということです。この言葉は難しい印象を受けるかもしれませんが、漢字の語源がわかればたいしたことはありません。

「忖度」の「度」から説明しましょう。

「度」は「温度」「湿度」などの言葉でも知られるように本来、暑さや寒さ、湿り具合などの「度合い」を知ることです。「測る」と言っても構いません。このように、相手の思っていることの度合いを測る(推し量る)ために「度」という漢字がついています。

それでは「忖」とはなんでしょうか。

「寸」は、もともとの漢字の意味は「指一本の長さ」を表します。ですから「一寸先は闇」ということわざは、「指一本先の短い距離でも、足を伸ばせば、何があるかわからないから注意をしなさい」という意味です。

「忖」はこれから考えれば、「心を指一本の長さ伸ばす」ということを表すことになります。悪い言葉を使えば、「ちょっとだけ相手に探りを入れて」というような意味になります。また、良い言葉で言えば、「相手のことを推し量って」ということになります。

いずれにせよ、「忖度する」というのは、相手の思うところがどの辺りにあるかなということを知るということを意味する言葉なのです。

忖度という言葉は、地位が高い人や少し年配の人が多く使いますが、よく耳にする言葉でもあるので、知っておいてください。