イタリアからフランスに広まったルネサンス建築

ルネサンスの建築の特徴は、左右対称、正円アーチ、直線の多用などだとされる。イタリアで始まりフランスなど各地に広がって華麗な教会や宮殿が建てられた。

巨大なドームが特徴的なフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂は、後期ゴシック建築と初期ルネサンス建築を代表するもので、ドーム部分は建築家フィリッポ・ブルネレスキによる。1436年に完成し、石積み建築のドームとしては世界最大を誇る。

▲フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂 イメージ:PIXTA

サンタマリアノヴェッラ教会の大理石のファサードは、フィレンツェ・ルネサンス期の最も重要な建築のひとつである。設計はレオン・バッティスタ・アルベルティ。メディチ家礼拝堂は、サン・ロレンツォ聖堂に付属するもので「新聖具室」は、ミケランジェロ・ブオナローティの設計による後期ルネサンス建築。

ローマでフランス大使館として使われているファルネーゼ宮は、後期ルネサンスを代表する壮麗な建築物である。1559年に建築家ジャコモ・バロッツィ・ダ・ヴィニョーラにより現在の姿に改築された。16世紀マニエリスムを代表するイタリア建築家で、セバスティアーノ・セルリオ、アンドレーア・パッラーディオとともにイタリア・ルネサンス様式を西ヨーロッパに広めた。

ヴィラ・アルメリコ・カプラ(ラ・ロトンダ/1566~67年)はパッラーディオの傑作。ルネサンス建築のヴィラで、ヴィチェンツァ郊外の丘の上にある。ヴィチェンツァには、同じくパッラーディオの「オリンピコ劇場」などもある。

シャンボール城は、フランソワ1世のために建てられた、北方ルネサンス様式の建築である。設計はドメニコ・ダ・コルトナによるが、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計に関与したとも考えられている。城内の二重らせん階段が有名。

▲シャンボール城 イメージ:PIXTA

フォンテーヌブロー宮殿は、歴代国王が居住した城館で、フランソワ1世が1528年に国内最大のルネサンス様式の宮殿にした。内装や庭は、イタリアのマニエリスム様式を導入しフランス風に解釈して、その後「フォンテーヌブロー様式」と呼ばれるようになった。

アウグスブルク市庁舎(1620年)は、ドイツ・ルネサンス建築の最高傑作といわれるが、建物は第二次世界大戦で全壊して、戦後に復元されたものである。見逃せないのは、黄金色の装飾とフレスコ画に覆われた豪華な天井がある、贅(ぜい)を尽くした「黄金の間」だ。

ベルギーのアントウェルペン市庁舎は、1561~64年に建設されコルネリス・フロリス・デ・フリーントなどが設計を担当した。ファサードの美しさが見どころである。スペインのルネサンス建築を代表するのは、グラナダ大聖堂(1523年起工)である。スペインルネサンス建築の傑作といわれている。ディエゴ・デ・シロエ設計。

※本記事は、八幡和郎:著『365日でわかる世界史』(清談社Publico:刊)より一部を抜粋編集したものです。