派遣社員で“豊かに暮らす”という選択

ーー本の中で興味深かったのが働き方の話です。介護士時代は正社員ではなく、あえて派遣社員を選んだそうですね。

介護士の仕事は体力勝負で、腰を壊してしまう方も多いです。収入も多くない中で、果たして定年までこの仕事がずっとできるのかと考えたときに、もう一つ選択肢を持とうと思いました。

そこでブログというパソコンを使った副業を始めたわけですが、副業するにあたって時間の調整がしやすい派遣の方が都合がよかったんです。

自分が介護士で派遣をしていたときは、出勤するのは1か月で8日だけ。その代わり出勤するときは夜勤で16時間働きます。その8日だけですが夜勤の方が給料も高いので、最低限生活するだけのお金は稼げていましたね。そして残った時間をすべてブログにあてるという生活をしていました。

派遣社員という選択肢は、友人に教えてもらったんです。友人といっても現在40代でかなり年上なのですが。A1理論というハンドルネームでブログを書いている方です。

彼は大学を卒業してからずっと派遣として働いていて、そのメリットをブログで発信しつつ、月に数万円で豊かに暮らしている。面白そうな生き方だなと思いました。それで3~4年前にコンタクトをとって、いろいろ教えてもらいました。今でもよく会う間柄です。

そのとき話を聞いて、じゃあ自分も派遣社員として働き、生活費を必要最低限に抑えつつ、あとの時間をブログにあててみようと考えたのです。

生活費を抑えるというところは、ミニマリストの影響もあったかもしれません。佐々木典士さんの本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(小社刊)も読んでいましたし。

そもそも派遣の介護士って、自分以外にも結構いるんですよ。周りにも1年のうち11か月頑張って働いて、その貯金であとの1か月は悠々自適に過ごすという人がいました。

昔からそういう働き方をしていた人は結構多いんですが、これまであまり情報として出ていなかっただけなんです。だから自分はそれを引っ張り出した感覚です。