乳がんも食事の欧米化が関係している

最近、日本人女性で増加しているもうひとつのがんが、乳がんです。統計によると、1970年代に1万人ほどだった患者数が、1990年代には3万人と約3倍に急増しています。原因はいくつかありますが、ひとつは大腸がんと同様、食事の欧米化です。

特に動物性の脂肪摂取が影響しているようです。乳がんの発生には女性ホルモンの一種、エストロゲンが関わっていますが、このホルモンは卵巣だけでなく脂肪組織からも分泌されているため、体脂肪の増加はリスク要因です。

また乳がんは仕事を持つ女性、都市部の女性に多いことから、精神的ストレスによって腸内環境が著しく悪化することからくる、ホルモンバランスの悪化が発症に関わっているようです。

▲ストレスのない生活習慣を心がける イメージ:PIXTA

何度も言うように、動物性の脂肪摂取の増加は腸内環境を悪化させ、全身に届けられる 栄養成分を酸化、劣化させます。また腸内だけでなく、カラダの各所で大量の活性酸素を発生させ、細胞および遺伝子を損傷してがん化させます。さらにストレス等の生活習慣ががん化を促進します。

大腸がんと同様に乳がんも、原因はかなりはっきりしています。だからこそ防ぎうるがんなので、まずは腸内から対策をしっかりとしていきたいところです。

高脂肪食が腸内環境を悪化させる

大腸がん・乳がんだけではなく、腸内環境の悪化は多くの生活習慣病と関係があります。

糖尿病は、その代表的な病気と言っていいでしょう。この病気のカギとなるのが膵臓のβ細胞から分泌されているインスリン。細胞がブドウ糖を取り込むために働くホルモンです。

糖尿病になるとインスリンが減少、あるいは細胞がインスリンをうまく受け付けなくなって(インスリン抵抗性)、ブドウ糖が血中にダブつくようになります。これがいわゆる高血糖です。ダブついた糖は次第に体中で悪さをするようになり、壊疽(えそ) や腎症、網膜症など恐ろしい合併症を引き起こします。 

最近の研究によると、糖尿病患者の場合、高脂肪の食品が腸内細菌のバランスを狂わせ、 有害物質を生み出していること、また本来は腸内にしか生息しない腸内細菌が、血中に漏れ出ていることがわかってきました。

▲高脂肪食が腸内環境を悪化させる イメージ:PIXTA 

有害物質も腸内細菌も、全身を巡りながら慢性の炎症を引き起こし、細胞におけるインスリン抵抗性を高めている――つまりインスリンの効き目が悪くなり、糖の取り込みができづらくなっていることがわかっています。 

一般的に糖尿病は、過食による肥満に関係していると思われていました。昔から贅沢病などといい、おいしいものの食べすぎが原因ではないかというわけです。実体はそれほど単純ではありませんし、やせ型でも糖尿病になる人はいます。しかし、高脂肪食が糖尿病の症状を引き起こしているのは、ひとつの事実のようです。