慣れないクラフトビールをグビリ…プハッー!
「昔、東京にいたので、立ち飲み屋というスタイルがいいなと思っていたんです。おそらく福島駅周辺で唯一の立ち飲みですよ」
立ち飲み屋のアットホームさを再現したかったという店主が、他のお客さんと話している間に、スマホでお店のことを検索したんですが「立ち飲みっておしゃれ」という口コミを見つけて、私は心底驚きました。
立ち飲み=おしゃれ
だったら私はおしゃれの最先端にいるのでしょうか。おかしいな。どうやら立ち飲みは、ここ福島になかった文化だったようで、スタイリッシュな雰囲気もあいまって、瞬く間に人気店になったようです。
つまみもいいんです。クラフトビールのお店で梅水晶なんか探しちゃいけません。ここは迷わずチーズとソーセージ。チーズの話はまた改めるとして、ソーセージってなんであんなにうまいんでしょう。孫を見るような慈愛に満ちた目で見つめてしまいます。
「食べてしまいたいくらい好き」という表現がまさにぴったり。目で美しいカーブを愛で、歯で食感を楽しみ、最後に舌で肉のうまみを堪能する。プチッという音とともに、ジュワーとあふれる肉汁。
もし私が人間に生まれ変わったらソーセージの肉汁の産湯につかりたいな。双子だったら、なおいいですね。双生児なんて。あはは。
ハンバーガーも人気です。100gもあるパティ。ボリュームたっぷり。最後にこれでしめたいですね。
こうなったらクラフトビールも頼んじゃいましょう。「難しそうだし頼みづらいと思ったら、店の人に聞けばいい」と教えてくれたのは誰だったか。クラフトビール好きは嬉々として教えてくれるんですって。料理に合う酒だって選んでくれる。困ったら頼る。そしたら相手も喜ぶ。日本酒みたいに講釈たれるご老公もいない。クラフトビール屋は、もしかすると酒飲みの理想郷じゃないか。
外観も内装も店主自身もしゃれているけど、オーダーが入ると、つまみを一生懸命に作ってくれるのが見える。聞けばお酒のことも丁寧に教えてくれる。横文字のクラフトビールが看板でも、手作りのぬくもりがある。だから私はこの店が気に入った。
いやぁ、いい気持ちだ。だから私は勇気を持ってスマホを取り出し、帰りの電車を予約しました。お尻の時間を決めないと、このまま長っちりになっちゃいそうだから。いい店というのは磁石みたいな力をもっているんです。
「もっと飲みたい。でも、帰らなきゃ」
この“ひとり貫一お宮”こそが、酒飲みの真骨頂。後ろ髪を引かれたまま後にするのも悪くないですよ。
「ごちそうさま」
福島から新幹線に乗って東京に帰ります。さて次はどの店に行こうかな。ふらりふらりと次の街へ。
『立ち飲み・マイ・ラブ♡ - 痛みに負けるな!-』は次回7/31(金)更新予定です、お楽しみに。
■立ち飲みkakato
住所:福島県福島市大町9-14
電話:090-7067-6916
営業時間:16:00~23:00(月~金)
定休日:日曜・祝日(場合により開店)
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店前にご確認ください。