ゲームに出てくるようなタワマンで迷子に…

VIP感を強調したマンションも恐ろしいです。タワーマンションには低層階(1〜20階ぐらい)用のエレベーターと、高層階(21階以上)用のエレベーターが分かれているところが多く、私はエントランスに入ってから配達先を確認して、低層階用と高層階用を乗り分けています。

ところが、ごくまれにですが、低層階用のエントランスと高層階用のエントランスが完全に分離されているマンションがありまして……。

▲タワマン配達は少し緊張します

芸能人・著名人が住んでいるのでしょうか、こういったマンションの高層階用のエントランスは、ちょっとした隠れ家みたいな感じになっていて、入り口を探し当てるだけで一苦労。建物の周りをぐるりと1周しても入り口が見当たらず、地下駐車場へ通じる道の脇を入ったところにエントランスがあった某マンションは、入り口にたどりつくまでに10分以上かかりました。

▲色分けの意味すら理解不能 

おしゃれを通り越して、RPGのダンジョンのようになっていたマンションも、ある意味恐怖。10階建ての塔のような建物が6つ並ぶ某マンションのエントランスに入り案内板を見ると、6つの塔のうち2つにしかエレベーターが設置されていないことが書かれています。

「は? 10階建てなのに? どういうこと?」と配達先を確認すると、配達すべき部屋のある塔にはエレベーターが当然のようにないわけです。ここらへんで脇をツーっと汗が流れます、もしかしてまた階段かと……。

高級マンションに限って階段しかない、なんてことはありませんが、ややこしいのはここからです。中庭のような場所に行き、上を見ると、上空に塔と塔を結ぶ橋がかかっているではないですか。どうやらエレベーターである程度上がってから、橋を渡って隣の塔へ渡り、そこから階段で目的の部屋へと向かう構造らしいのです。

ふと疑問に思ったのですが、こんなに不便なタワマンに住みたい人っているんでしょうか? 大災害が来たら一体どうやって逃げるのでしょうね。

▲エレベーターもシンプルでスマート

なんとか状況を飲み込んで、エレベーターに向かうと、そこにあったのはエレベーターの扉と、コンクリートの打ちっぱなしの壁。そして薄暗い照明。早く届けないといけないので、エレベーターに乗りたいのに「▲」や「▼」のボタンが見当たりません……。

老眼が進む目を細めてよーく見てみると、カメレオンが自分の皮膚の色を周囲に合わせるかのように、壁と一体化したエレベーターのボタンを発見しました。時計を見ると、マンションについてからもう7~8分が経過しています。急がねば、注文者から催促があるかもしれません。

焦った私は、配達先の階のボタンを押して向かいますが、その階には橋がかかっていません。別の階へ行くと、今度は橋があるものの、配達先の部屋がある塔へと向かう橋がない。

そんなことを繰り返し「中学生の時、ドラクエⅡのダンジョンで迷って途方に暮れたことがあったけど、リアルの世界でもドラクエと同じ経験をするとは……」と途方に暮れていると「迷っていますよね。すみません。1階まで取りに行きます」とお客様から電話が。

優しいお客様に救われました。

住んでいる方は、毎日出入りしているので慣れていると思いますが、配達員にとっては、おしゃれなマンションは迷路のよう。

住んでいる方は注文の際に、攻略の難しいダンジョン部屋までのルートなどを、メッセージ欄に注意事項として書き込んでいただけると助かります。

『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は次回10/16(金)更新予定です、お楽しみに。