こんにちは。
東京とL.A.を行ったり来たりしながら、ディレクション、プロデュースの仕事をしています、風野又二朗です。
10月も中旬になってきまして、もうすっかり秋ですね。しんどかったあの暑さも、気がつけば遠くに行ってしまい、少し寂しかったりもして。秋は、なんだか恋を思い出してしまう。
あの時、気持ちを伝えていればな。あの時、結論を急がなければ。そんなにたいして思い出す恋の経験もないのに、秋風に吹かれていると、恋を思い出したくなります。
秋めいて、ときめいて、10月も頑張っていきましょう。
さて、エンターテイメントの最前線は今、どうなっているのか。何が起きているのか。2人目のゲストにお会いしてきました。
渋谷にあるLive House「eggman」の取締役であり、音楽レーベル『murffindiscs』のエグゼクティブプロデューサーである、井上秀隆さんです。
井上氏とは、風野が音楽のLiveで流す映像の制作や、演出の仕事をしている時に、現場で出会いました。当時、音楽のLive、ツアーの裏側なんて全くの無知の未知で、不安そうに仕事している私に、井上氏が「風野さん、猫かぶってますね」と声をかけてくれたところから、僕らの関係はスタートしました。
吾輩は猫である。あるいは、月が綺麗ですね。多分そう返したと思います。文系ですからね。いずれにしても、そこから、僕みたいな猫を好きになってくれて、音楽の事や音楽業界の事をたくさん教えてくれました。
なかでも、事務所、レーベルに所属しているアーティストの事をいつも教えてくれるので、気がつけば、sumikaさん、マカロニえんぴつさんを始め、murffindiscsさんの大ファンになってしまいました。毎日聴いています。
――という事で、今回は、風野の音楽のマイメン(親友)の井上さんがゲストです。お忙しいところ、ありがとうございます。宜しくお願いします。
宜しくお願いします。普段はめんどくさいからインタビュー断ってますけど、風野さんだから特別ですよ。風野さん、電話では言ってましたけど、本当に1人でこの対談やってるんですね。ライターもカメラマンもいないし、マネージャーさんもいない。
――そうなんですよ。もともとは、1人で文章を書くだけの連載だったんですけど、9月にリニューアルする時に、全部1人でやります!って言ってしまったので今日も1人です。あと、風野には美人マネージャーが3人いるんですけど、誰も来てないですね(笑)。
3人もいるんですか?さすがですね。
――今日の事も、15時にeggmanで対談しますってグループラインに書いたんですけど、既読が3になってそのままです。でも、こうやって彼女たちの知らないところで、風野が美人と言っている事が今回明るみになってしまったので、どうでしょう?次回は来てくれるかもしれません。
きっと、密を避けてくれているんですね。あと、風野さん1人の方が、リラックスしてできると思ってくれているんですよ。マネージャーさん達さすがです。
――はい(笑)。さて、まずは、井上さんのお仕事について、教えてもらっていいですか。ライブハウスと音楽レーベル、音楽事務所をやられているんですよね?
株式会社エッグマンの経営、ライブハウスのshibuya eggmanの運営、制作業務をしています。アーティストに出て頂いて、お客さんに来て頂いて、楽しんでもらうという事ですね。murffindiscsでは、音楽レーベル(CDのリリースに関する仕事)とアーティストのマネージメントをしています。
――こういう音楽レーベルとマネージメントを兼務している、というのは多いんですか?
インディーズの場合は多いですね。そして、メジャーに行く場合は、所属レーベルが変わるという感じになります。その場合も事務所はmurffindiscsが行います。
――音楽のマネージメントというのは、主にどんな事をやるんですか?
年間のライブ、ツアーのスケジュールを組んだり、後は楽曲について、本人たちやレーベルスタッフと相談したりいろいろですね。アーティストを売り出す為の事を何でもやりますね。
――俳優のマネージメントだと、例えば、自分たちで作品を作って、それを発表するってかなり少ないんですよ。企画だったり、脚本が先にあって、作品やキャスティングが動く事が多いので。でも音楽は、自分たちで作って、それを発表するじゃないですか。マネージメントの違いがきっとありますよね。どういう向き合い方になるんですか?
そうですね。アーティストは、やりたい事、作りたいものがあって、それを作っています。なので、僕らはそれを邪魔しない、というのを心がけています。
――邪魔しない?何か相談しながら、という事はないんですか?
うーん。良い作品って純度が高いものだと思っているんですよ。まず最初にある、ファンの人たちや世間にこういうものを届けたいという気持ちって、とても純度が高いじゃないですか。でも、そこにたくさん人が関わっていくと、純度が落ちてしまう。これは、ライブハウスに出るアーティストも同じなんですけど、彼らの純度が落ちない、良さが落ちない環境を作ることを心がけています。
――意外でした。いろいろと相談しながら作っているのかと思っていました。
もちろん相談されたら乗りますけど。良いものは強いんですよ。良いものは、邪魔されなければ売れるので、届く。なので、シンプルに考えています。
――つまりそれは、事務所に所属するタイミングで、良いアーティストだという確信があるという事なんですかね。
そうですね。 eggmanでの仕事で、たくさんのライブの成功も失敗も見てきたので、その経験は生きているかもしれません。バンドマンやアーティストたちは、人生かけてやってますから、みんな本気ですからね。ただ、本人に光るものや武器が何もないと、厳しい世界ですね。それは、風野さんの業界も同じですよね?
――はい。確かに、何もないところに、何かをかけても、何も起きないですね。何か光るものがあって、特別なものを持っていないと輝けないです。でも、僕はマネージメントではないので、そういう角度から俳優を見たりはしてないですけど。
俳優さんの事務所とは、確かに違うかもしれないですね。
――ライブハウス「eggman」は、2021年で40周年を迎えますが、井上さんはいつから関わるようになったんですか?
まずはライブハウスを中心の仕事で、外注業務として働いていて10年ちょっと前に、現体制チームでオーナー会社から運良くエッグマンを買う事ができたんですよ。この買収タイミングで、経営サイドや出資のオファーも頂きました。まだ20代だったんですけど、そのタイミングでできた事は大きかったですね。その頃のeggmanって、外から見ていると、歴史はあったけど、なんかライブハウスとして、あまり良くないなって感じだったんですよ。そこをコツコツ、現社長と共にテコ入れをしている感じでした。
――良くないライブハウス?具体的に言うと、どういうところですか?
例えば、当時の下北沢や新宿のライブハウスは、無骨で本物な感じがするんです。そのライブハウスによって、ロックに特化したり価値観に筋が通っている。でもeggmanは、多種多様なことをやっていてどれも中途半端で、あまり良いライブハウスって感じはしなかったんです。でも、自分が中に入ってみて、いろいろ悩んだりしたんですけど、その多様性を伸ばそうってなったんですね。来場してくれているお客さんが、楽しんでいればいいかなと。それで、今のような多様性のあるライブハウスになったんですけど、良いライブハウスと言ってもらえると嬉しいですね。
――なるほど。外から見えていた事も、中に入って又、その見え方が変わったんですね。あ、ごめんなさい井上さん。ここから、この緊急事態宣言を受けてライブハウスが何を考えてどうしたのか、これからどうするのか、なども聞いていきたいと思ったんですけど、ここで前編が終わりなんです。引き続き、後編でそのあたり教えてもらえますか?
もちろんです。
今回もかなり話がボリューミーになってしまい、前後編になりました。次回は、コロナ禍の中でどうしていたかなど、聞いていきたいと思います。続きもwebで、宜しくお願いします。
今回のオススメの映画は【はじまりのうた】です。自ら音楽レーベルを立ち上げる音楽プロデューサーが、数年間気に入ったアーティストに出会えない事から、生活が堕落し口論から会社をクビになる。たまたま入ったバーで出会った女性シンガーと本物の音楽を作る物語です。はっきり言って傑作です。特にバーで出会うシーンは、もうすごいですよ!絶対観てください。
それでは、又、風の吹く日に。