アーミッシュとって安住の地となったアメリカ
『殉教者の鏡物語』には、弾圧されていた歴史が書かれていました。
投獄された牢屋から脱走に成功した信徒は、凍りついた池を走り抜けたそのとき、後ろから看守が追ってくることに気がつきました。 すると、その看守の足元の氷が割れ、池に落ちてしまいます。看守が助けを求めて叫ぶと信徒は引き返して手を差し伸べ、看守を助け上げます。彼はその後、再び捕らえられ、火あぶりの刑によって命を奪われました。
自らの命を脅かすものに、助けの手を差し伸べたというエピソードは、アーミッシュたちにとって「正しい信仰の姿」として現在も伝わっています。
アーミッシュがアメリカに移住したきっかけは、イギリス人のウィリアム・ペンという人の呼びかけでした。彼はアーミッシュと同じくキリスト教少数派のクエーカー教の信徒です。
1681年にアメリカ・ペンシルヴァニアの土地を獲得したウィリアム・ペンは、ヨーロッパ各地で迫害に遭っているキリスト教少数派の同胞たちに、信仰の自由を約束し、新天地としてペンシルヴァニアへの移住を呼びかけます。
彼の呼びかけによってアーミッシュをはじめとする各宗派のアメリカ移住が始まります。国家からの弾圧・差別のない自由の国であるアメリカは当然、アーミッシュの人たちにとって安住の地となりました。
1800年代にヨーロッパからの移住者が増え、ペンシルヴァニア州のみならず、オハイオ州やインディアナ州にも移住が拡大していきます。
2018年現在、アメリカの31州とカナダの4エリア、少数ですが南アメリカにもアーミッシュのコミュニティが存在し、人口は約33万人です。そのうちの63%がアメリカのオハイオ・ペンシルヴァニア・インディアナ州に暮らしています。
平均7人の子どもを持つアーミッシュの家族は、兄弟同士が一緒に遊びながら、面倒を見合いながら育っていきます。
ちなみに、もともとアーミッシュが誕生したヨーロッパには、現在は一人のアーミッシュも残っていないそうです。