習近平国家主席による、巨大中華経済圏構想「一帯一路」。ヨーロッパでは、イギリス・イタリア・スペインとの経済的な結びつきを強めてきました。経済合作を積極的に受け入れているということは、それだけ中国経済と一体化することになります。それは、ヒトの面も含めて中国がもたらすさまざまなリスクとも一体化する、ということだと経済一筋50年のベテラン記者・田村秀男氏は警鐘を鳴らす。

コロナロードと化した一帯一路

中国は2008年9月のリーマン・ショック以降、対外投資攻勢をかけてきました。2014年には習近平国家主席が、巨大中華経済圏構想「一帯一路」を打ち出し、海外での工事プロジェクトを国有企業に受注させ、大量の工事要員を現地に派遣してきました。

習近平政権は、この中国式の対外投資を「対外経済合作」と称し、中国商務省所管の「対外経済協力」に分類しています。

中国商務省統計によれば、2018年の合作プロジェクトの完工額は、アメリカが23.4億ドルで、中国の友好国イランの23.1億ドルを上回りました。ヨーロッパではイギリス・イタリア・スペインとの経済的な結びつきを強めてきました。

注目すべきは、それらの国々がいずれも新型コロナウイルスの感染拡大で、甚大な被害を受けたことです。

▲コロナロードと化した一帯一路 イメージ:PIXTA

なぜそのような事態になったのでしょうか。「経済合作」を英語でいうと「economic corporation」。これを「経済協力」や「経済合作」と呼ぶのは、中国側の言い分にすぎません。

「経済合作」と称して、中国人労働者を大量に海外に派遣し、建設工事部門を引き受ける。モノを輸出するだけでなく、工事とセットで「ヒトの輸出」もする――それが経済合作の実態なのです。

経済合作は、もともと1970年代末に鄧小平が推進した対外開放路線(改革開放)とともに打ち出されました。習近平政権の打ち出した一帯一路構想も、この経済合作を世界的に拡大する政策で、言ってしまえば中国人労働者の輸出構想なのです。

▲鄧小平 出典:ウィキメディア・コモンズ

一帯一路経済圏のヨーロッパにおける玄関口であるイタリアは、2019年3月、先進7カ国では初めて一帯一路に参加を決め、イタリア北部の港湾整備に“合作”を受け入れました。それにより、以前から約40万人の中国人移民が住んでいたと言われるイタリア北部の“中国化”に拍車がかかりました。

スペインは一帯一路の参加国ではないのですが、中国のインフラプロジェクトの合作を積極的に受け入れています。この両国のほか、イギリスなどヨーロッパのコロナ蔓延国は、いずれも緊縮財政によって医療支出を抑制してきました。

つまり、これらの国々は緊縮財政を推進していくなかで、中国からのヒト付きの投資を喜んで受け入れたわけです。その結果もたらされたのが、新型コロナウイルス感染症の蔓延でした。

 一帯一路に協力的な国、経済合作と中国人労働者を積極的に受け入れてきた国ほど、軒並み新型コロナウイルスの感染拡大による大パニックに見舞われているという現状があります。

なお日本では、一帯一路構想に事実上組み込まれ、広大な土地が中国資本に買われてしまっている北海道で、感染拡大が目立っていたことに注目すべきでしょう。