コンビニ各社が事業規模を拡大してきた一方で、現場で働く店員たちが苦しむ理由は、原則24時間営業しばりによる人員不足などさまざまだ。しかし、それと同等以上に問題視されているのが、コンビニ独自の会計方式であるという。コンビニ問題研究のパイオニア・木村義和氏に解説してもらった。

※本記事は、木村義和:著『コンビニの闇』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

特殊な「コンビニ会計」でロイヤルティを算出

コンビニのロイヤルティは高すぎるといわれているが、問題はそれだけではない。というのも、コンビニは「コンビニ会計」と呼ばれる、特殊な会計方式を用いてロイヤルティを算出しているのだ。

この会計方式は、コンビニ問題を国会で追及し続けていた辰巳孝太郎前参議院議員が、著書『直及勝負』(清風堂書店:刊)で書かれた例が非常に分かりやすいので、これに依拠して解説する。

原価70円のおにぎりを10個仕入れて1個100円で8個売れたとする。加盟店が本部に支払うロイヤルティは粗利の60%とすると、次のようになる。

1.一般会計の場合

一般会計の場合、廃棄したおにぎり2個の費用を当然に原価に含ませる。したがって、次のような計算式となる。

売上:100円×8個=800円
原価:70円×10個=700円
粗利:800円−700円=100円
ロイヤルティ:60円
加盟店の収益:40円

この一般会計に従えば、本部も加盟店も黒字となる。しかし、同じ例でもコンビニ会計に従うと、加盟店は大赤字になるという事態になる。

2.コンビニ会計の場合

コンビニ会計には、“弁当の廃棄分は原価に含ませない”という特徴がある。すなわち、廃棄ロス(廃棄による損失)は、加盟店が負担しなければならないという計算方式である。したがって、次のような計算式となる。

売上:100円×8個=800円
原価70円×10個−70円×2個=560円
コンビニ会計による粗利:800円−560円=240円
ロイヤルティ:144円
加盟店の収益:96円−70円×2個=マイナス44円

コンビニ会計に従うと、本部のロイヤルティ収入は144円となる。一方で加盟店は一般会計の場合では40円の黒字だったが、コンビニ会計に従うとマイナス44円となってしまう。

▲特殊な「コンビニ会計」でロイヤルティを算出 イメージ:PIXTA