今こそ必要なのは「土を食べる」という発想

■「粉もの」のとりすぎを避ける

過敏性腸症候群など腸の不調に悩む人が多くなっています。その背景には、小麦粉のとり過ぎがあると私は考えています。問題となるのは、小麦粉に含まれる「グルテン」というたんぱく質です。

グルテンは、パンをふわふわにしたり、麺をもちもちにしたりする物質です。そうしたおいしさをつくり出すために品種改良が進み、現在の小麦には、昔のものより約40倍ものグルテンが含まれているとされます。

そのグルテンには「グリアジン」というたんぱく質が含まれます。グリアジンには、小腸のなかで「ゾヌリン」という物質を放出させる働きがあります。このゾヌリンの濃度が高くなると、小腸の上皮細胞の結合部分(タイト・ジャンクション)がゆるみ、細胞と細胞の間にすき間が開きやすくなるのです。

このすき間から分解が十分ではないタンパク質が、血液中に入り込み、免疫に異物と判断されることにより食物アレルギーの原因になってくることもわかっています。さらに腸内細菌や、腸のなかの腐敗物質などを通過させる可能性も高くなります。これらも、腸を抜け出して血液中に入り込めば、免疫の攻撃を受けることになります。

免疫はその異物の対応に追われ、いざ病原体が侵入してきたときに十分な力を注げなくなります。しかも、免疫が働けば、そこで炎症が生じます。腸もれが起こっている限り、ジワジワと炎症が慢性的に続いて、細胞の劣化を起こしていきます。これが老化と病気の発症にかかわってきます。

パンやラーメンを含め「粉もの」が好きな人は、とりすぎに十分気をつけてください。できればパン・ラーメン・パスタなどは、週2回くらいに抑えてほしいものです。

■土付きの野菜を選んで食べる

現代を生きる私たちに、今こそ必要なのは「土を食べる(Eat Dirt)」という発想です。これは、米国の医学界でも広がりを見せている考え方です。もちろん、道端の土を食べましょう、というのではありません。加工されたものではなく、土壌菌がいるような自然のものを食べる、ということです。

自分の生命力が落ちているな、と感じるときほど、土付き野菜を買ってきましょう。それを台所で洗うという過程で、多くの土壌菌が舞い散ります。それを吸い込めば自然免疫を刺激できます。土付き野菜は洗うのを大変に感じるかもしれません。その手間が免疫力を高めるために役立ちます。

ネギやニンジン、イモ類など土付き野菜が売っていたら、そちらを選ぶことから、ぜひ始めてください。

■自然の中で食事をする

自然のなかで深呼吸すれば、空気中に浮遊する土壌菌をたくさん吸い込むことができます。お弁当を広げれば、土壌菌を腸まで送り込んであげることもできます。それこそ、腸内細菌が喜ぶ食事です。

ふだんは自然と遊離した生活を送っていても、休日には自然のなかに出かけて行って、自然のものたちとおおいに触れあい、土をいじり、お弁当を広げるような機会を増やしましょう。1万年前の原始的な生活環境で暮らすことはできなくても、ときどき、それに近い経験をすることが、自然免疫を高め、腸内フローラを豊かにするには大切です。

▲自然の中で食事をする イメージ:PIXTA

まだまだ他にも書きたいことはありますが、まず上記に留意し、さらにできる限り、加工食品やレトルト食品を使わないことです。

ほんとうに便利なものではありますが、これらのほぼすべてに含まれる食品添加物は、間違いなく自然免疫を低下させます。人類が誕生した1万年前にまったくなかった成分は、人体にとって今も「異物」なのです。異物は免疫システムの攻撃対象であり、活性酸素も多く発生します。その結果、腸内には活性酸素が大量に発生し、免疫力も低下することにつながります。

皆さんの免疫力が高まり、幸せな日常を過ごせますように!