残っている歯が多いと要介護期間が短い

2017年に東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野で行われた研究で、65歳以上の高齢者で歯が20本以上残っている人は、0本の人とくらべて寿命が長いだけでなく、健康寿命が長く、要介護期間が短いことがわかりました。

歯の健康を保つことが健康寿命の延伸と、要介護期間の短縮に寄与する可能性が示されました。今後このようなエビデンスが、どんどん出てくることが予測されます。

歯を失うことは、栄養や体幹バランスといった身体的側面だけではなく、外食の抑制や容貌の変化、また発音が思うようにできないことによる社交性の低下、といった精神的側面にも悪影響を及ぼします。

こういったことから、身体的・精神的に活動の低下をきたして、外出頻度も減少する。そうなると、さらに筋力低下を引き起こすといった悪循環に陥っていくのです。自分の歯をできるだけ多く残すことは、最終的に自分のためになるのです。

歯の存在期間の長短は、体質の影響もありますが習慣にも大きく左右されます。適切な習慣をできるだけ早く身につけ、これを継続する以外には方法はありません。

この習慣というものは、一朝一夕に身につくものではなく、最初はかなり意識して取り入れなければ、なかなか身につきません。なぜなら、それまでに蓄積されていたその人の常識(これは単なる思い込みに過ぎないのですが)を、いったん排除しないといけないからです。

そしてそれを継続するためには、それなりのモチベーションの維持が必要となるからです。このためには、正しい知識をある程度は知っておいたほうが有利なのです。

例えばですが、

「虫歯は歯医者に行ったら治る」と思っていませんか?
「神経を取った歯は痛くならない」と思っていませんか?
「歯磨きは洗面所で行うもの」と思っていませんか?
「歯磨きは口を開けて行うもの」と思っていませんか?
「歯磨きはペーストをつけて歯をこすること」と思っていませんか?

こういったことを、いったんリセットしなければ、正しい習慣は身につかないのです。

▲残っている歯が多いと要介護期間が短い イメージ:PIXTA