不安材料は優秀なブレーンがいないこと

一方で、真面目ということは「地味」という見方をどうしてもされてしまいます。実際、彼は典型的な実務型の政治家で、イデオロギーの匂いがしませんよね。

これまでは派手な安倍総理と、地味な菅官房長官で中和されて、ちょうどバランスがとれていたわけですが、今の官房長官というのが、これがまた菅さんに輪をかけたような実務型の加藤(勝信)さん。前政権のときように、総理を官房長官がいいバランスで補うという形にはなっていません。

結論から先に申し上げると、菅政権は短命で終わる可能性が高いと、わたしは考えています。その理由は、今言った官房長官のこともありますが、今の菅総理にはそもそも優秀なブレーンがいないのです。したがって、正確な情報が入ってこない。日本学術会議の一件もそれが大きな理由です。

また、彼は派閥を持っていません。自分の「軍団」がないのです。NHKの大河ドラマを見ていても分かりますが、信長だって誰だって、武将は自分のために命を投げ出す軍団があってこそ戦(いくさ)に勝てる。石破茂氏が負けたのも、軍団が19人しかいないからです。  

はっきり言ってしまうと、今の菅さんは二階派・麻生派・細田派の、いわば「雇われマダム」のようなもの。本当に意味での自分の政権とはいえないのです。

▲不安材料は優秀なブレーンがいないことと語る舛添氏

2021年9月に菅政権が終わる可能性もある

懸念材料はまだあります。ご承知のとおり、菅さんは安倍前総理の健康事情で、いわばピンチヒッターのような形で急遽、総理になったという経緯があります。

これと共通するのが、わたしがかつて仕えた福田康夫元総理です。彼も今回と同じで、安倍総理の病気が原因で、ピンチヒッター的に総裁になった人。結局、わずか10カ月ほどで政権は終わりました。

「代わりにやれと言うからやったのに、なんでここまで叩かれなきゃいけないんだ」と、言葉は悪いですが、福田さんは途中で嫌になって放り投げてしまったわけです。

結局「何がなんでも自分の内閣を作ってやる」という気迫をもって、自分の力で権力を手に入れるような政治家でないと、総理総裁という仕事は続けることが難しいのです。

▲2021年9月に菅政権が終わる可能性もある 出典:PIXTA

菅総理が仕事を放りだすと言うつもりはありませんが、そういった諸々の危うさを外から見ていると、刎頸(ふんけい)の交わりを自負するわたしとすれば「菅よ、これから一体、どうやっていくつもりなんだ。やっていけるのか」という気持ちになってしまうのも事実なのです。 

仮にこの先、たとえば2021年9月頃の時点で、彼が「もうこの先、闘えないな」という気持ちを持つようなことになれば、菅政権がそこで終わる可能性もあるとみています。もちろん、応援はしています。

≫≫≫第2回に続く