健康長寿にもつながるLPSのすごい効果

LPSは単に細菌・ウイルスの感染症を防ぐだけではありません。さまざまな病気の予防・改善効果が次々に報告されています。LPSによってパワーアップしたマクロファージによって、人間の健康長寿を担う主なものを簡単に紹介しましょう。

1.アレルギー疾患の予防と改善

現代病と言えるアトピー性皮膚炎や花粉症など、これらアレルギー疾患は都市部で急激に増加していて、免疫系のバランスが崩れることによって起きると考えられています。LPSはこの免疫バランスを正常に整える働きをするため、LPSの積極的な摂取が、アレルギー疾患の予防や改善に有効なのです。

2.潰瘍性大腸炎の発症予防効果

難治性疾患に指定されている潰瘍性大腸炎は、炎症性大腸炎の中でも完治に導く治療法が確立されていない疾病です。炎症が直腸から連続的に広がっていく特徴があり、便には出血を伴い、痙攣性の腹痛と頻回の排便をもよおします。重度になると、合併症を引き起こし、生体全体に影響を及ぼします。また、大腸癌への移行の可能性もあります。私たち研究チームは抗炎症作用を予想して、潰瘍性大腸炎に対するLPSの経口投与のマウス試験を行いましたが、その結果潰瘍性大腸炎の予防効果が認められました。

3.手術後の疼痛の緩和

ヒトの手術においては、手術後の疼痛が問題とされますが、この緩和にもLPSは有効です。腹腔鏡での胆嚢摘出手術において、手術中、術後にLPSを投与したところ、投与した人の血中からβエンドルフィン(脳内で作られる鎮痛成分)が多く検出され、痛みが軽減されていることがわかりました。

4.アルツハイマー病予防

アルツハイマー病は、大脳にアミロイドβが沈着し、その結果、神経細胞が次第に死滅することで引き起こされます。アミロイドβの脳への沈着は、痴呆が表れる数年前、早い人では40歳代から始まると言われていますが、通常は、脳内のマイクログリア(脳のマクロファージ細胞)が取り除いています。

そこで、マイクログリアによるアミロイドβの貪食能が、LPSによる刺激で高まるかどうかを、マウスを用いた実験で確認したところ、LPSであらかじめ刺激したマイクログリアでは、刺激しないマイクログリアとの比較において、アミロイドβの貪食率が統計的有意差をもって高いことが示されました。

▲健康長寿にもつながるLPSのすごい効果 イメージ:PIXTA

自然農法で栽培された野菜や漢方に多く含まれている

LPSは、農薬や化学肥料を使用しない自然農法などで栽培された野菜や、玄米やライムギなど精製のされていない食品に多く含まれています。また、漢方など素材をそのまま乾燥しているものなどに、多く含まれる傾向があることも知られています。 ぜひ参考にしてください。

<LPSが多い食品>(μg/g) 
明日葉 13.8
ゴーヤチップ 0.2
桑の葉(粉末) 1.1
大麦若葉(粉末) 0.5
ケール(粉末) 0.2
ほうれん草(粉末) 1.3
ワカメ(乾燥) 21.2
メカブ(粉末) 42.8
クロレラ(市販健食) 0.2
キノコ菌糸体抽出物(市販健食) 0.8
蕎麦外層粉 5.9
小麦フスマ(市販健食) 8.8
小麦胚芽(市販健食) 7.5
シイタケ末(市販健食) 2
発芽大麦ファイバー(市販健食) 3
渋柿(発芽食品) 17.1
<LPSが多い薬用植物・漢方>(μg/g) 
ドクダミ(乾燥) 5.5
鬱金(和漢) 30
人参(和漢) 50
柴胡(和漢) 40
甘草(和漢) 30
葛根(和漢) 30