幅広い視野で物事を見る力をつけるには?

例外をあぶり出す場合に、いい技術が1つあるので紹介します。

「キャストライトアップ」という考え方です。

問題分析をするにあたって、どんな「登場人物」がいるかを列挙するというものです。そして、それぞれの登場人物にとってのメリット(良いこと・嬉しいこと)デメリット(悪いこと・悲しいこと)を顕在化させます。

登場人物と言いましたが、これは人に限る必要はありません。登場人物には、人・モノ・金・情報・時間というカテゴリーがあります。

この思考ツールを使うことで、その問題を取り巻く環境、人物や事柄を、多角的かつ俯瞰的にあぶり出すことができます。

たとえば「〇〇金融機関(銀行、証券など)に、お金を預けるべきか否か」という悩みについて考える場合には、次のような登場人物が考えられます。

「金融機関に勤めている職員は、ファイナンシャルプランニングの知識をよく知っているか」「顧客へのアフターフォローはどうなっているか」「受付窓口の対応はスムーズで丁寧か」

モノ

「立地は良いか」「支店網は全国に展開しているか」「地域に特化しているか、それともネットのみで無店舗型か」「金融機関の店舗の雰囲気は良いか」「その金融機関の商品ラインナップは充実しているか」「商品の仕組みは、消費者にとってお得か」

「利率や利回りは他の金融機関と比べ、良いか」「金融機関の財務状況はどうなっているか」

情報

「格付け会社の評価は?」「経済新聞や経済誌(マネー雑誌など)の評価は?」「ネットでの金融機関の評判・口コミは?」

時間

「どのくらいの期間、預ける商品なのか」「その金融機関は、(時間的に)行きやすい場所にあるか」「どのような歴史がある金融機関なのか」

▲幅広い視野で物事を見る力をつけるには? イメージ:PIXTA

悩みを抱えたら、ぜひこの「キャストライトアップ思考法」を試してみてください。今まで見えていなかったことが見えるようになるのが、この思考ツールのすごさです。

多くの人にとって見えないものが、あなただけには見える。このキャストライトアップをさまざまなシチュエーションで考えてみてください。例外の反論を見つけることができます。

「持ち家に住むことが100%正解!」「賃貸物件に住むことが100%正解!」というような、わかりやすい正解は大人の世界にはありません。

「〇か✕か」が明確で、万人が使える正解というものはない、と大前提として認識しておくことが大切です。

正解がない世界では、100%の正解を見つけようとするのではなく、今のあなたの現状、あなたが持っている情報を考慮しながら、より“メリットがある、論理的な答え”を見つけることが、賢い決断をすることにつながります。