ひとつのキッチンで数店舗分のメニューを作成

▲雑居ビルに「レストラン」が… イメージ:PIXTA

このように、1つの店がいくつもの名義で出店することは、お店側にとっての「ウーバーイーツあるある」だそうですが、その究極の形が“ゴーストレストラン”と呼ばれるお店です。

ゴーストレストランといって、なにも幽霊やおばけが出る店ではありません。ウーバーイーツや出前館といったアプリに、多彩な店舗を出店するデリバリー専門の業者を指します。

宅配に特化しているため、受け取り場所に行っても客席はありません。ひとつのキッチンで複数の店の料理を作っています。

「本場アメリカ直輸入 低脂肪赤身肉ステーキ店」「大分中津仕込みの秘伝のタレに一晩漬け込み からあげの匠」「国産ポークの旨味があふれるジューシーとんかつ」といったインパクトのあるメニューの注文を初めて受け、指示された場所に行ったところ、看板も出していなかったのには驚きました。ドアに各デリバリーアプリのステッカーが貼ってあるだけなので、まったく気づけなかったのです。

▲ひとつのキッチンでさまざまな店の料理を調理  イメージ:PIXTA

このようなゴーストレストランは、私がよく配達しているエリアには7~8店ほどあり、なかには雑居ビルの3階にある一室に厨房を作って営業している、というところもあります。

アプリ上に表示される店名やメニューが派手なことや、牛肉の店・豚肉の店・鶏肉の店の看板を同時に掲げることから、ゴーストレストランの存在を知った当初は悪いイメージを抱いていました。

ですが、よくよく考えてみると、私の本業であるライターの仕事も「記事のタイトル」によって、同じ内容でも反響が大きく変動。キャッチーなタイトルがつけられたかどうかで閲覧数が明らかに変わります。

ゴーストレストランも、見てもらわないことには商売にならないので「専門店」などという、明らかなウソの表記がなければ問題ないのかなと思いました。また、飲食スペースがない分、内装などの費用が抑えられ、維持費も少なくて済みます。その節約できた分で食材のグレードを上げることもできる、というメリットもあります。

新型コロナで、飲食店は突然の営業時間短縮を要請される時代。テイクアウト専門ならその影響を受けることがないですから、今後はゴーストレストランのようなスタイルのお店がどんどん増えていくかもしれませんね。

『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は、1/22(金)更新予定です。お楽しみに!!