視覚以外の感覚が発達している動物

実際、人間には第三の目のような器官があります。それは脳の上部にある「松果体」という8ミリ程の大きさの内分泌器。松果体は朝起きて、夜眠るなど人間が本来もっている1日で行う生理的現象のパターンを調整するホルモンを分泌しています。

この松果体には、目の光受容器細胞に似た機能があり「目の網膜の細胞と起源が同じ」という説もあるのです。

一方、第三の目ではありませんが、視覚以外が発達している動物が、他にもいます。例えば、ニシキヘビには唇のところのくぼみに「ピット器官」と呼ばれる器官があります。

このピット器官は動物が発する赤外線を感知し、ほんの僅かな温度差を感じ取り、獲物を捕らえることができるすごい器官。なので、暗闇でも獲物の体温だけで正確に位置や大きさを把握できるのです。

▲「ピット器官」で温度差を感知できるニシキヘビ イメージ/PIXTA

人間は基本的には視覚に頼って生きていますが、他の生き物は、視覚以外の感覚が非常に発達しています。野生の動物たちは目が見えなくなっても、足が動かなくなっても、それによって落ち込むこともありません。他の器官をフル活用して失った機能を補い、懸命に生きています。

そんな動物たちのように、人間も力強く生きていきたいものですね……!

話をルイちゃんに戻します。ゲージから出していたら、ルイちゃんは入院室で突然ジャンプ! 高さ120センチのステンレスの流し台の、幅わずか10センチ程のところに飛び乗りました。目が見えていなければできない芸当です。僕はますます確信を持ちました。「ルイちゃんは絶対見えている!」と。

上に書いたような、第三の目や温度差を感じ取る器官があるという話は、僕の知る限りネコでは聞いたことがありません。でも、人間が想像もつかない特殊能力があるのでは? とルイちゃんを見ていると感じてしまいます。

あっ、そうそう。実は僕も特殊能力があるんです。奥さんが近づいてくると、背中がゾクゾクとなって危険を知らせてくれるんです。視覚ではなく、本能的に体が恐怖を訴え掛けているのです。これが、僕が得た自己防衛のための特殊能力です。

今回はこのあたりで。また次回お会いしましょう。

「スーパー獣医 Dr.北澤のどうぶつ事件簿」は、次回2月9日(火)更新予定です。お楽しみに!!


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