安倍晋三と蔡英文の良好な「縁」
幸いなことに、安倍さんと蔡英文総統の関係も良好です。
蔡英文が総統に就任する前年の2015年、蔡英文は安倍さんの弟である岸信夫氏と一緒に、故郷である山口県を訪れました。
また、2016年1月に蔡英文が台湾総統に選出されると、安倍さんはこんなメッセージを送っています。
「台湾は日本の古くからの友人だ。自由な言論の上に、選挙でリーダーを決める総統選挙は台湾の自由と民主主義の証と考える。蔡英文氏の勝利に対し、心から祝意を表明したい」
さらに6月3日には、蔡英文が台湾で45年ぶりに行われたNHK交響楽団の台北公演に、安倍さんの母・安倍洋子さんを招待。貴賓室での会談の後、二人並んで音楽を楽しんだと報じられています。
6月9日には、台湾の大使館に当たる台北駐日経済文化代表処の代表として、京都大学大学院に留学経験のある謝長廷が代表に就任。彼は民進党台日友好協会の初代団長を務めた、まぎれもない親日派です。
そして2020年1月、蔡英文が総統に再選されると、安倍さんは首相として、いち早く祝辞を送りました。中国は懸念や不快感を表明しましたが、安倍政権はこうした圧力には屈しませんでした。
安倍さんと蔡英文総統は、折に触れてツイッターなどでお互いにメッセージを送り合うようになり、心ある多くの日本人はそのやり取りを強く支持しています。
こうした交流が、正式な国交のない日台関係には非常に重要なのです。
「中国との同盟」は朝日新聞の妄言
大国となった中国に相対するには、台湾一国では不可能ですし、日本でさえも「一国平和主義」はとうに限界が来ています。安倍・蔡という日台のリーダーが、中国の脅威に関して共通の認識を持っていたのは当然のことでしょう。そのことをよく理解している日台のリーダーの“連携”が、私にとっては実に頼もしいものでした。
しかし日本のメディアや野党、世論の大半は中国に対する危機感が希薄です。台湾や香港があれだけ強く「中国化」に反対する声を上げているのに、我が事とはとらえていない。尖閣に対する領海侵犯が続いても、メディアは「中国と仲良くしなければならない」の一点張りです。
それどころではありません。アメリカの衰退を前に「これからさらに強大化する中国との同盟も、あり得るのではないか」などという妄言が、朝日新聞に載る始末です。
さすがにウイグルやチベットでの中国の圧制を、人権の観点から批判する記事もちらほらと出始めてはいますが、中国共産党、そして中国人に対する警戒感が決定的に欠けていることには啞然とさせられるばかりです。