力の弱い者が子孫を残す不思議な動物とは?

クジャクとは違い、弱いオスが遺伝子を残す傾向にある動物がいます。それはニホンザルです。

ニホンザルは群れで生活する動物。そして群れのなかで順位がつけられます。1位のオスは体も大きく、立派な犬歯を持ち、睾丸も大きなことが多く、とにかく強い。同じく順位の高いメスたちをいつもはべらかしています。

当然、順位の高いオスは、メスに対しての交尾の回数など優位に立つと思われていました。しかし、ニホンザルの遺伝子で親子関係を調べてみると、1番多く子どもを残していたのは、1位のオスではなく、下位のオスだったことが判明しています。

▲群れを作ってみんなで生活しています 写真:PIXTA

1位のオスは周囲に弱みを見せることができません。ケンカなどの戦いにも負けるわけにいかず、自分の地位を守るためにいつもストレスを感じている精神状態。対して下位のサルにはそういったストレスがないので、メスたちも近づきやすいのかもしれません。

遺伝子を多く残すのは弱いオスだなんて、なんだか不思議な世界ですよね。

動物の世界にもある“同性愛”

ここからは、昆虫や動物たちの同性愛について紹介します。さまざまな理由から同性同士で愛を育むそうです。

トンボは独特なくっつき方で交尾をするのですが、皆さんは知っていますか? それはなんと飛びながら交尾をするんです!

しかも、オス同士で交尾をするということが多いようです。とはいえ、はじめからオスを狙ったわけではなく、交尾の相手を見つけている間に性衝動が我慢できず、身近なオスにくっついてしまうことがあるそう。欲というのは、なかなか我慢するのが難しいですよね。

僕が動物園に勤務していたとき、お世話していたフンボルトペンギンのなかに、特に仲の良いカップルがいました。ペンギンのカップルは絆が強く、恋の季節になると毎年同じペアがカップルになります。2羽は寄り添いながら、水中でも陸上でも互いに愛を語り合います。

ペンギン舎には、岩のくぼみを模写した小さな部屋がたくさんあり、デートを重ねたあと、2匹はお気に入りの部屋に入り、巣材を運び込み、卵を産み、2匹で卵を温め子育てをします。

しかし、特に仲の良い1組のカップルが、いっこうに卵を産みませんでした。なんでだろうと思い、雌雄を調べてみるとなんと“オスとオス”。でもそんなこと、彼らには関係ないのでしょう。いろいろな愛のカタチがあるのは、人間だけではないのです。