堂々とした立ち居振舞いはチーム一丸でつくられた
コロナ前だったら、これぐらいの規模のライブになるとケータリングルームが設けられ、好きなものを好きなだけ食べられるようになっているのが当たり前だった(彼女たちがライブ前にどれだけ食べるのか観察してみたかった……)。だが、感染防止の観点から、今では個別に包装された弁当が配られ、それをなるべく顔を合わせないようにひとりで食べる、というのが「新常識」となってしまった。なんとも味気ない話だが、こればっかりは仕方がない。
当然、この日もお弁当スタイルだったのだが、スタッフはたくさんの種類の弁当を用意しておき、食事の時間になると楽屋でメンバーから注文を取るスタイルを採用していた。「今日は中華ですよ。油淋鶏もあります、からあげもあります」と、たくさんのメニューを挙げたあと「さぁ、何を食べますか?」と聞いてくれる。たいしたことではないけれど、これはテンションが上がる。
案の定、メンバーは狂喜乱舞し、おのおの好きなメニューを指定。じつはすでに弁当は用意してあって、それがすぐさま楽屋に届けられる、というサプライズもあって、本当に「ワー!キャー!」が止まらない。いつもとは違うスペシャル感を味わいながらも、リラックスできる。そういう環境を作ってくれるスタッフの気遣いには、やっぱり「チーム感」を強く感じとってしまう。
なんにせよ、朝から食欲があるというのはいいことだ。これから昼夜二回公演の長い1日が始まるわけで、エネルギーのチャージは大事。ちなみにちょっと甘いものを差し入れしたのだが、渡して10分も経たないうちに愛来から「すっごくおいしかったです!」と言われてびっくりした。ライブが終わったあとに、もしくは1部と2部のあいだに、と思って渡したものを即座にペロッと食べてしまうとは……でも、その屈託のない笑顔に少し安心もさせられた。
そして、リハーサル開始。僕は2階席から眺めていた。初めてこの会場の2階席に座ってみたのだが、最後方からでもすごく見やすいことに感心する。どのZeppも2階席は非常に快適ではあるが、より見やすい印象だ。
いや、ひょっとしたらそれだけの話ではないのかもしれない。4人のパフォーマンスが大きくて、2階席まで届くものだから、より見やすく感じるのではないか? それぐらい4人は落ち着いてリハーサルをこなし、細かい問題点も冷静に指摘しながら、微調整を繰り返していた。はじめてのZeppとは思えないほど、浮足立っていない4人の立ち居振る舞い。それこそが、この1年間の成長を物語っていた。