横隔膜を意識するためのエクササイズ

ここで紹介するのは、横隔膜の動きを意識するためのエクササイズです。横隔膜に直接触れることはできませんが、肋骨、胴回りに両手を当てることで、間接的に動きがわかります。

ここでは〈1〉で胸部と腹部が同じ方向に動くよう意識し〈2〉肋骨内旋呼吸で肋骨がきちんと上下・開閉することを意識し、そして〈3〉で、お腹周り全体を360度膨らませたり、戻したりできるようになっていくことを目指します。

呼吸トレーニングに限りませんが、たとえば2カ所の筋肉を動かすことが必要な場合、「全部を同時に意識する」ことは非常に困難です。無意識に2つの筋肉が連動して動くようになるまでは、まずそれぞれの筋肉を1つずつ意識しながらトレーニングしていくことが早道です。

1つ目の筋肉が無意識にきちんと動くようにトレーニングできていれば、2つ目のトレーニングをしたときは、最初の筋肉も同時に正しく動くようになっていくからです。このエクササイズは、自分の肋骨や胸、お腹が呼吸とともにどう動いているのかを知るためにも、少しの時間でもいいので、毎日続けてください。

〈1〉アンチパラドックス呼吸

肩や首などの筋肉を使うことなく、横隔膜をリラックスさせて呼吸を続けることによって動きの幅を大きくしていきます。息を吸ったときに「胸が突き出てお腹が凹む」という状態(パラドックス状態)は横隔膜が動いていないことを示します。これを解消することが目的です。

▲『入門!「全集中」の呼吸法』(小社刊)より

〈2〉肋骨内旋トレーニング

呼吸にともなって肋骨がしっかりと動いているかどうかを意識しながら呼吸を続けるト
レーニングです。息を吐いたときに肋骨が矢印の方向に動いていない(内旋していない)状態は、横隔膜がじゅうぶんに動いていないことを示します。「しっかりゆっくり吐ききり、自然に吸う」を心がけ、4〜5回続けてください。

▲『入門!「全集中」の呼吸法』(小社刊)より

〈3〉IAP 呼吸トレーニング

息を吸ったとき、お腹周り全体、つまり横腹にも背中のほうにも空気が入っていくこと
を意識して呼吸します。IAPとは腹腔内圧のことで、呼吸によってお腹全体に内側からかかる圧力のことです。息を吸ったときにじゅうぶん横隔膜が下がっていればしっかり圧力がかかります。

▲『入門!「全集中」の呼吸法』(小社刊)より

横隔膜呼吸で呼吸量を減らし、ゆっくりと深い呼吸ができるようにするためのトレーニングをしましょう。楽にできるものから1日数十秒でも数分でもかまいませんから、少しずつ毎日やってみてください。