リアル書店には書店員さんがいます。そして電子書店にも“顔が見えない”書店員さんがいます。なかなか実態が見えない電子書店の“中の人”にアレコレ聞いてみようと思います。
今回はサービス開始11年目となる電子書籍の総合書店「Reader Store」を運営する、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの八島さんにインタビューしました。
エンタメ軸でストアのオリジナル性を出したい
――本日はよろしくお願いします。最初に自己紹介からお願いできますでしょうか。
ソニー・ミュージックエンタテインメント八島(以下、SME八島) はい。ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下SME)で、Reader Storeを担当している八島と申します。
ソニーミュージックグループのソニー・マガジンズ(現:エムオン・エンタテインメント)で編集職に従事していました。その後SMEに移り、Reader Storeを担当しています。編集者時代に培った作り手側のノウハウをストア施策に入れて、事業を拡大させるべく日々奮闘しています。
――ありがとうございます。電子書店員としての普段のお仕事は、オリジナル商品の企画・運営などの販促企画がメインとなるんですよね。
SME八島 私のメインの仕事は、お客様にReader Storeをご利用いただく機会作りです。「Reader Storeで買いたい」と思っていただける販売方法を考えたり、オリジナル商品の施策化をしたりしています。ストアとの連動前提で作っていますので、オリジナル商品は作るだけではなく、どのように売っていくか、どうやって世の中に周知してお客様に買っていただくか、企画・販売・宣伝を通して考えています。
――手掛けられたものを見ていると範囲が広すぎて、メディアミックスと言うか、考えるだけで大変そうだと感じました。
SME八島 私共はエンタテインメント総合企業のソニーミュージックです。音楽レーベル会社をはじめ、アニプレックスというアニメ事業会社、芸能事務所や放送事業会社、キャラクター事業会社もあります。
エンタメと呼ばれるものの多くを手掛けている企業で、いろいろな軸でスキルを発揮できる人間が揃っている会社だと私は感じています。私自身も雑誌や書籍編集を通したエンタメ軸でのノウハウと知見がありますので「ソニーミュージックがやる書店なのだから、それで勝負するのが一番でしょう!」という考えです。大変ではありますが、やりがいを感じています。
――ありがとうございます。電子書籍の販促企画というと価格施策が主流だったりもしますが、その辺はいかがでしょうか?
SME八島 価格施策は電子書籍ストアの基本施策のひとつとして日々やっています。出版社の皆様と連携した注目商品のキャンペーンなどにも力を入れています。そのうえでオリジナル性を加えること。お客様に選んでいただくためには他では得られないもの。電子書籍が専門ですので、紙・印刷版との差異化、そして他のストアとの差異化、この2点を考えています。