「小池ブーム」から約4年。この間の都政に対して都民の審判が下る東京都議会選挙が間もなく投開票を迎える。これまで日本の首都を私物化してきたうえ、コロナ禍でもまともな対策を打ち出せずに処置が遅くなった小池都政について、前都知事である舛添要一氏がその問題点を語る。
前回は、2020年5月末現在の都議会の現状、そして都民ファーストの会の行方と選挙後に予想される小池氏の身の振り方についてお話しました。
都民の命を脅かし続けている東京都のお粗末なコロナ対策
今回は、この1年間でまったく進歩しなかった都のコロナ対策について私見を述べていきたいと思います。
自ら創設した「都民ファーストの会」が都議会第一党であるがゆえに、小池氏はコロナ禍でも「パフォーマンス」を最優先させることが可能となり、肝心の感染対策は1年経ってもおざなりなままです。
最近、さすがに対策の遅れに危機感を覚えたのか、慌てて築地市場跡地に東京都独自の大規模ワクチン接種会場を設置しました。
ただし、ここは東京五輪の際に車両基地として使用される予定で、1回目の接種はできても2回目の接種は別の会場を用意しなければなりません。これでは、準備も二度手間となるうえ、1回目の接種に来た人たちを無駄に混乱させてしまう可能性があります。
おそらくこれは、小池氏の焦りと、築地市場跡地をうまく活用しているように「見せる」ことで、イメージアップを図ろうという浅はかな考えが生み出した失敗なのでしょう。
それから間もなく小池氏は、代々木公園を大規模ワクチン接種会場にし、五輪中継を見るためのパブリックビューイング(PV)としては使わないと決定。PVでの使用を批判されたこともあり、付け焼き刃の対応でその場を取り繕おうとしたのだと思います。この一連の動きで、彼女には危機管理は無理だと確信しました。
そしてもう一つ見過ごせないのが、新型コロナ感染者のうちホテル療養とされた人たちの扱いです。都が用意した宿泊施設では看護士が常駐しているものの、基本的に「医療行為」を受けられるわけではありません。そして、呼吸が苦しくなり、いよいよ危険な状態とならなければ医療行為が受けられる病院に移してもらえないといいます。
私のところにも、ホテル療養から病院に移ったときには、すでに肺炎になっていたという人の声が届いています。結果的には一命をとりとめたからよかったものの、同様のケースで助からないということも十分考えられます。