MXテレビの『5時に夢中!』を皮切りに『アウト×デラックス』『とくダネ』、最近では『めざまし8』にもコメンテーターとして出演。視聴者の目を覚ます強烈な言葉をズバッと言い放つ、歯に衣着せぬ物言いが痛快な小原ブラスさん。コメンテーターが天職といった印象を受けるが、ここまで紆余曲折があった。
自分がやりたいことと世間が求めることは違う
「そもそもこの業界に入ったときも、まあ業界に入ったっていうほどのものではないんだけど、まさか自分がコメンテーターやコラムニストになるとは思ってなかったんです。今は自分が評価される場所で生きてるって感じです。でも、これでいいのかなとも思っています。自分が本当にやりたいことと、世間が求めることは違うことが多いので、結局、誰かが認めてくれたところを伸ばして、自分自身のことを知っていった方がいいんじゃないかと思うんです」
幼いころの夢は歌手だった。ロシア人の母親も歌手。母親が仕事で来日した際、お土産にたくさん買ってきてくれた日本のお菓子にブラス少年は夢中になった。お気に入りはラムネが詰まったマイク型のお菓子。そのマイクを持ってロシアの歌番組に合わせて口パクしていたのが、最も幸せな少年時代の記憶だという。
「それ以降もYouTubeに合わせて、1人で踊っているところを、たまに弟に見られて気恥ずかしい思いをしましたこともありました(笑)。僕の妄想では、宇多田ヒカルや浜崎あゆみのようなアーティストになっているんです。でも、本質的に違うじゃないですか。誰も僕にそこは求めていないですから」
母親が日本人と再婚し、6歳で来日して日本の小学校に通った。ロシア人の端正な顔立ちは、日本人から見ればうらやましい限りだが、高い鼻や彫の深さ、小顔も彼にとってはコンプレックスだった。
「小学校で音楽会とかやるんだけど、だいたい周りは木琴とか太鼓とか目立つ楽器をやりたがるんですよね。でも自分は、その他大勢のリコーダーを希望したり。走るのは得意だったけど、運動会でもなるべく1位にならないようにしてました。それでも目立ったんでしょうね。終わりの会で『先生、昨日、ブラス君が信号無視をしていました!』とか報告されちゃうんです(苦笑)。いじめはなかったですけど、いじめになりそうなことはありました。
男の子たちが帰り道、僕に変なあだ名をつけてイジってきて、そのうちの1人が唾を吐きかけてきたんです。僕は母親からいつも『やられたら許すな』と言い聞かされて育ってきたので、火がつきました。集団でいるからやっているんだなと思ったので、彼が1人になったときを見計らって仕返しをしました。『なんでやられたか、わかるよな?』って言い残したら、それ以来、何もしなくなりました」
日本の道徳の授業では、仕返しは良くないって教えますよね。でも、いじめた側はいじめていると認識していないことが多いと思います。いじめられた側がいじめられた感を出すことで、いじめる側はいじめではないと正当化するために、いじめがどんどんエスカレートしていく。もちろん暴力はよくないですけれど、たとえば大人になって同窓会でブイブイ言わせて、見返してやるでもいい。仕返ししてやるんだという強い意思が、時には解決策になることもあると思います」