中国の免許では日本でレンタカーに乗れない?

加藤 中国にはレンタカーのマーケットはないのでしょうか?

池田 国際免許の枠組で、ジュネーブ条約とウィーン条約というのがあって、それらに加盟している国の国際免許は相互に乗れるんですけど、中国は日本が加盟しているジュネーブ条約に入っていないんですよ。なので、中国の人たちも、本当は日本に来たときに運転できないはずなんです。

加藤 そうですか? 多くの観光客がレンタカーを借りてると思いますよ。

池田 まぁ、必ずしも公明正大な方法でない免許を取っているんじゃないですかね、おそらく。

加藤 なるほど(笑)。中国の免許では日本でレンタカーに乗れないんだ。

池田 中国は一時期「技術をとにかく盗ろう」「世界のメーカーから技術を強制的にでも自国に移転させよう」ということを熱心にやっていました。でも、ある時点から「パクリだって言われるよりは、どうせ資本の半分は自分たちのものなんだから、外国メーカーが中国で生産してくれれば、それでいいじゃないか」ということになって、現在に至ります。

中国での自動車販売にはリスクもある

加藤 でも、この数字を見たら、ドイツはVWだけはすごいけど、トヨタや日産はもとより、ホンダがすごい人気ですね。中国ではドイツ車が圧倒的に強いイメージがあったので、日本車がこんなに売れているのは驚きです。

岡崎 良品廉価という、日本車の価値観が普遍的だということでしょうね。特に長く使ったときの信頼と耐久性は圧倒的です。ただし、中国や韓国のメーカーも、その領域は少しずつキャッチアップしてきているので油断は禁物ですが。

池田 現実の話、中国は今や世界最大の自動車マーケットですから、そのマーケットを無視しては自由競争に勝てませんよね。ただ一方で、香港やウイグルに対する問題で中国は先進諸国からものすごい経済制裁を受けています。

アメリカが日本に対して「お前ら制裁破りをするつもりか!?」と言ってくるリスクも考慮しなくてはなりません。G7メンバーとしての責任もあります。

だから、巨大マーケットでありながら、最悪の場合の縮小や撤退を織り込んで戦略を立てておかなくてはならないという難しい舵取りを、中国ではしなくてはならないわけです。たぶん、全力でいっていいなら、もっと中国でのシェアを取れるでしょう。

しかし、VWの動向を見ていると、あれで中国撤退の圧力が政治的にかかったら死活問題です。いきすぎないことも重要だなと思います。なにしろ、VWは利益の40%を中国で上げているわけですから。

▲中国での自動車販売にはリスクもあるが… イメージ:yamahide / PIXTA