読解力を養うために読書を活用するには?

4,000人以上の子どもたちを指導してきた私の経験からの考察ですが、性別によっても、どちらを好むか、傾向があるように感じます。

女の子は「小説・物語系」を、男の子は「説明文・論説系」を、好むように見受けられるのです。したがって、国語で小説・物語を扱うことが多い小学生の頃は女の子が国語が得意で、大学受験の頃になると説明文・論説文が中心となり、男の子が国語で上がってくるというのは、そういう背景もあるかもしれません。

また、性別にかかわらないところでいうと“数学が得意な中学生は「説明文・論説系」の本を好む”という傾向があります。「説明文・論説系」の文章を読み解く力と、数学を説くときの力は、かなりの程度まで共通しているといわれており、そのような現象が起こります(数学が得意な子が皆、そのような本を読むという意味ではありません)。

読解には“論理を組み立てるようなロジカルな力”が必要になってくるため、「小説・物語系」の本だけでは、国語が頭打ちになるという理由はここにあります。

お子さんが読書好きであるならば、その本のジャンルに注目してあげてください。もし「小説・物語系」から入っている場合は、「説明文・論説系」の本にも興味を示すよう、図書館などに連れていったり、本を入手したりしてみるといいでしょう。

とはいえ、子どもがそれを拒む場合は、無理やり読ませることはしないように。子どもが「小説・物語好き」で、それ以外に関心を示さなければ、それを尊重してあげましょう。小説や物語を読むことにも、活字慣れをしたり、語彙を学んだり、さまざまな効果はあります。どちらも、子どもが読みたい、知りたいという気持ちがあることが前提となるのですから。

▲子どもが「読む」ことに関心があることが大事 イメージ:Sunrising / PIXTA