次にブレイクする若手漫才師といえば、それはももである。今年で結成5年目となる彼らは、今回の『伝説の一日』でネタを披露した、数少ない20代コンビ(他はコウテイと霜降り明星のみ)。実力派の面白い先輩たちがひしめく吉本で、のし上がって行くのは並大抵のことではない。ところが、ももの二人はこの状況を悠々と楽しみながら自身の漫才道をひた走る。次世代の吉本を担うであろう若手きってのホープが、大きな野望を我々に語ってくれた。

 

大吉さんから「110周年やけど遅刻顔やろ!」と言われた(笑)

――今日の漫才も大ウケで、余裕を感じました。ももは若いのに、いつも堂々としてますね。

せめる。 いや、テレビ番組とかビビってますよ。劇場はそんなにビビらんというか、なんか楽しんでできますけど。

▲せめる。(もも)

まもる。 劇場は俺らのものを紹介するだけやからな。

――いやいや、テレビでも堂々としてましたよね。しかも『M-1』みたいな大舞台でも(2021年の『M-1』決勝で一回戦敗退したももに、松本人志が「3年後優勝顔やろ」とコメントしたら、まもるが「いや、来年優勝するんで!」と答えた)。

まもる。 意気込みというか、意志表示なので(笑)。

▲まもる。(もも)

せめる。 今日(松本さんの楽屋に)謝りに行ってこいよ(笑)。

――ハハハ。骨があるというか、ハートが強いなって思って。その強さっていうのは、どこから来るものなんでしょうか。

まもる。 相棒を信じてやってるだけです。お互いがお互いを信じてやってるっていうのが一番強いんじゃないですか。その信頼関係のバランスが崩れたらやっぱり強めには出れへんけど、結局どっちかがカバーしてくれるやろ、と思うからいける。

せめる。 でも、あの一瞬だけは、僕はもうどうにもカバーできなかったですね。見た目通りのこと言ってるって思って(笑)。

まもる。 まあまあ、俺もオスやからな(笑)。本能が出たんやろ。

――こうして110周年という吉本の創業イベントに出るってすごいことだと思うんですけど、舞台の感じとかお客さんの反応とか、いかがでしたか? 

まもる。 いいな、やっぱりNGKにお客さんパンパンに入ってるのはいいよな。

せめる。 お祭りみたいな感じじゃないですか。だから余計に楽しかったですね。

まもる。 日頃、寄席とか出させてもらってるけど、それとはちゃうかったな。『M-1』ともちゃうもんな、空気が。出ていったとき温かかったもんな。

▲『伝説の一日』で漫才ができる喜びを噛み締めていた

――吉本には6000人の芸人がいて、今回『伝説の一日』に出られるのは、そのうちのトップ中のトップの人たちですよね。普段あまり会わない東京の芸人さんとかもたくさん来てるし、何か交流というか、勉強させてもらったみたいなのはあったりしますか?

まもる。 僕は基本、袖で人の漫才を見てるんで、勉強はいつもさせてもらってます。この前見てたら、博多華丸さんが「袖で見んと、休憩時間パチンコ行く顔やろ!」ってイジってくれて(笑)。袖で見てて、目が合うだけでイジってくれたりとか、その辺の応用力とかはめっちゃ勉強になりますね。やっぱ余裕があるからできるんやろうなって。

せめる。 今日も着いたときに(博多)大吉さんから「110周年のイベントやけど、遅刻する顔やろ!」って言われてました(笑)。

――若いけど、ここだけは負けないっていうところはありますか?

まもる。 漫才(即答)。漫才です。負けないっす。

せめる。 漫才の形に関しては、たぶん誰もやっていない形をやってると思うので、ダブルツッコミ。ボケがいないという感じの、お互いが普通のこと言い合ってるけど「お前、ちゃうやろ」っていう漫才の形に関しては自信ありますね。

――最初の頃は会話で応酬するだけだったけど、最近はアクションをつけたりしてますね。

まもる。 はい。今年は動きをちょっと入れて。『M-1』で、「あの子らは顔でやる子なんや」っていうイメージができたから、今年は動きも取り入れて「動きでもあいつらやるな」っていうのを、進化を見せれたらいいなと。

――吉本についてお聞きしたいんですけど、巨大で多様な会社じゃないですか。その一員であるということに対して、思うことはありますか?

まもる。 素晴らしいよね。

せめる。 はい。なんかあったら命捨てます。

まもる。 嘘つけ! お前、すぐ逃げる顔やろ! 尻尾巻いて見捨てる顔やろ!

せめる。 お前は鉄砲玉顔やろ!

▲まもる。のスーツの裏地には「笑売人」という言葉が刺繍されている