増えすぎたインパラをステーキで!?
―― 約7年をアフリカで過ごしていると、日本が恋しくなったりはしないんですか?
太田 2021年の12月に、日本に一時帰国したんです。あれを食べよう、これを食べよう!って、テンションはすごく高まるんですけど、日本に行ったときの感覚は旅行しているのと同じなんですよね。アフリカに戻ったときのほうが「ホームに帰ってきた〜」という感覚になります。
―― 完全に入れ替わってしまったと。
太田 ただ、日本のごはん、食事は本当においしいんだと毎回思い知らされますね。この前、日本に帰った初日、中途半端な時間で何も食べていなかったんですけど、実家の冷蔵庫に入っていたキュウリを丸かじりしたら、とてつもなくおいしかったんですよ。アフリカのキュウリは、ズッキーニみたいに大きくて大味だからかもしれませんが、日本のキュウリは全然違って、パキッとしてるんですよね(笑)。
―― 日本の野菜のクオリティーに感謝ですね。そのほか食事面で困ることはありますか?
太田 今は、バーチャルサファリの製作会社が借りている一軒家に8人でルームシェアしていて、食事は持ち回りで作っているんですが、南アフリカ人は本当によく肉を食べていますね。私は肉より魚が好きなので、そこはちょっと困っているところではあります。
―― 素朴な疑問ですが、何肉をよく食べるんですか?
太田 そうですね、もちろん普通のビーフとかポーク、チキンとかもあるんですけど、インパラのお肉をよく食べてますね。なんでかっていうと、インパラが増えすぎちゃっているからなんです。それを間引くとき、お肉にされて売られているんですね。
―― サバンナで一番多い動物だと聞きました。
太田 柵で覆われた保護区で、ある種類だけの生物が増えすぎてしまうと生態系全体が崩れてしまうので、必要な処置ではあります。
―― ちなみに、どういった味なんですか?
太田 私はあまりお肉が得意ではないんですが、お客さんと一緒に食卓を囲むときは食べますけど……そんなにといった感じでしょうか(笑)。でも、ルームシェアをしているお肉好きの人たちは「柔らかくておいしい」と好評です。ジビエ好きな人にはハマる味なのかもしれません。
―― 水道や電気は快適に使えているのですか?
太田 南アフリカの全体の問題なんですけど、約9割のシェアを持つ電力会社がめちゃくちゃで、半日近く停電する日が1週間続くようなこともあるんですよ(苦笑)。私たちの家は地下からポンプで水を汲み上げているので、本当に苦労しています。