自衛隊やミリタリー関係、サバイバル術にアウトドア関連などの動画をアップし、総再生回数1億回超、25万人のチャンネル登録者数を持つ人気サバイバルバラエティチャンネル「トッカグンの東京サバイバル」。このチャンネルを企画運営するのは、吉本興業所属のお笑い芸人、トッカグンの小野寺耕平だ。自身の田舎暮らしや、自衛隊に所属していた経験から披露される知識は、幅広い層に支持されている。

今回、YouTubeチャンネルでの企画や、東日本大震災で大きな被害を受けた、ふるさと南三陸町への思いを綴った著書『元自衛官×防災士 そこにあるモノでなんとかする! 小野寺流サバイバル』(徳間書店)を発売したトッカグン・小野寺に、チャンネル立ち上げのきっかけから、自信の体験を活かしたサバイバル術、そして知っておいてほしい防災への意識などを聞いた。

インスタント麺は水でも戻る!

――この本には、小野寺さんが自衛官としての経験や、生まれ育った宮城県で育んだサバイバル術が記されていますが、その基となったのはご自身がやられているYouTubeチャンネル「トッカグンの東京サバイバル」ですよね。芸人としての活動の傍ら、こうして“ネタではない”自分の経験や知識を、YouTubeに更新するようになったきっかけを教えてください。

小野寺 YouTubeチャンネルを始めたのが7~8年前なんですが、まだ周りには僕と同じようなことをやっている人はいなくて。なんで始めたかっていうと、当時、自分の生い立ちや住んでいた所の話、自衛隊での話などをするのが、芸人として出ていたライブのエンディングトークしかなかったんですよね。

――(笑)。そうなると、月に何回か、しかも数分とかですよね?

小野寺 まさにそうなんです。でも、少ない機会のなかでも、話すとよくウケるんです。当時はバイトをしていたんですが、バイト仲間に話しても、みんな興味を持ってくれる。それだったら、時間を気にしないで話せる場を作ろう。僕を知らない方にも、皆さんが見ているバラエティ番組で先輩が喋ってる感じで届けばいいな、と思ったのがYouTubeチャンネルを始めたきっかけでした。

――これまで一番反響があったのは、どの動画ですか?

小野寺 数字上で言うと、「2階から飛び降りても平気!?自衛隊精鋭部隊の着地法」が一番再生回数が多いですね。自衛隊のパラシュート部隊で行う、衝撃を吸収しながら着地する5点着地という方法があるんですが、190万回再生されています。

――へえ! なんでそんなにバズったのでしょう。

小野寺 動画の反響って、未だに読めないところがあるんですよね。この5点着地の動画も、日常生活とはかけ離れているじゃないですか。だから、この動画の場合は純粋な興味なのかなと思っています。例えば、“お化け屋敷に行ってみたい”という興味に近いんじゃないのかなって。

――なるほど。そういった怖いもの見たさとは逆に、この本には日常生活にも役立つ知識がたくさん載ってますが、そういうジャンルの動画で反響があったものはありますか?

小野寺 軍隊で食べられている戦闘糧食、いわゆる“レーション”を食べてみた「元自衛隊員が米軍の戦闘糧食を食べてみたら!驚きの連続」という動画は反響がありましたね。米軍以外にもロシア軍や中国軍、イギリス軍のレーションを紹介したんですけど、どの動画もすごい勢いで伸びていくので、やはり食は強いなと思いました。

――個人的には、レーションって「メタルギアソリッド」でしか聞いたことがなかったので、たしかにすごく興味がありますね…! あと、やはり多くの方が気になる防災、これで反響が大きかったものについて教えていただけますか?

小野寺 インスタント麺は時間をかければ水でも戻るというので、「【鍋・器なし】袋インスタントラーメンを冷水で調理【防災食】」って動画は、これまでより多くの方に反応してもらえた印象があります。

▲常温の水で作る袋ラーメン『元自衛官×防災士 そこにあるモノでなんとかする! 小野寺流サバイバル』より

――たしかに、“水でも戻るんだ!”というのは新鮮な驚きでした! 防災もそうですが、単純においしそうだなって思ってしまいました。

小野寺 そうなんです。ちょっとふやけた感じで、夏場ならなお良いと思います(笑)。

雨の中で地図を広げて読むフリをして溜まった水を飲む

――あと、一番“へぇ!”と思ったのが、川の水を瀘過器無しで飲む方法でした。こういうことを知識として知っておくのは大きいなと思いました。この方法は自衛隊に入られて得た知識なんですか?

小野寺 そういうのもありますが、この「川の水を瀘過器なしで飲む方法」は、自分の田舎暮らしが原点かもしれないですね。子どもって無駄に穴を掘ったりするじゃないですか(笑)。それで濁った川でも、横に穴を掘るとそこから染み出してきた水は澄んでいるな、って気づいたり。それを大人になって思い出すと、“あ、井戸と同じ原理なんだな”ってわかるんです。なので、子どもの頃の実体験と、自衛隊に入ってからの知識の融合だったりしますね。

▲川などの水を瀘過器なしで飲む方法『元自衛官×防災士 そこにあるモノでなんとかする! 小野寺流サバイバル』

――本を読んでいると、水というのは大事なライフラインなんだと気付かされます。

小野寺 自衛隊に入ると、希望者だけにある厳しいレンジャー訓練があるんですけど、何が一番ツラいかって参加者に聞くと「喉の乾きが一番ツラい」と言う方が多いですね。ある人は雨の中で地図を広げて、その地図にたまった水を読むふりをして飲む、とか(笑)。

――すごい…!(笑)。そこまでしないといけない訓練なんですね。

小野寺 雨が降ったら木にしがみついて、セミみたいになってその木から滲み出てきた水を飲むってのもあります(笑)。サバイバルの鉄則として、まず酸素の確保、そして体温の確保、これは暑すぎても寒すぎてもいけません。その次に水分の確保が挙げられます。

――それほど水分の補給というのは、レンジャー訓練に大事なんですね。

小野寺 これはレンジャー訓練に限ってですが、無駄に水を飲んでいると訓練にならないので、上官から注意の対象になります。指定された量の水を水筒に入れて、「じゃあ、キャップ一杯だけ飲んでいいぞ」って、上官に許されたときだけ飲んでいます。

――訓練と言えば、ポテチを独特な方法で持ち運ぶのは、微笑ましいなと感じました。御本人はそれどころじゃない!って思うかもしれないですが…(笑)。

小野寺 いえいえ(笑)。あれに関しては個人個人、“これはやってもいいよ”というラインのなかでやっていることですね。ポテチを食べたい……でも行軍中では食べづらい、じゃあペットボトルに砕いて入れておけば食べやすい! という知恵から生まれたことです。カロリーも高いし、日持ちもするし。

――ちなみに、ポテチ以外に訓練などで重宝していたものはあるんですか?

小野寺 私個人ではチョコも多かったですね、やはり疲労回復にはチョコがいいです。実際に海外の戦闘糧食に「キットカット」が入ったりすることもあります。あとは「スニッカーズ」を持っている方も多かったですね、高カロリーで腹持ちがいいので。