tetsuyaとkenの特性が活かされた知られざる名曲

「Shutting from the sky」(1993 : from album DUNE)

インディーズ時代のアルバム『DUNE』の1曲目。ラルクって、インディーズ時代から、バンドコンセプトとディレクションを、楽曲に落とし込むセンスと技術が異常に高いんです。理由としてはブレーンであり、リーダーでもあるテッちゃん(tetsuya)の手腕もあるけど、追随するように各メンバーの能力値がずば抜けてることも大いにあります。

この曲はラルクでは珍しく、作曲クレジットがバンド名義になっていて、おそらくスタジオセッションやライブでのアレンジを経て、変化を重ねていったと推察していますが、散々こねくり回した楽曲でアルバムの1曲目を飾るということは、冒頭からバンドの美学を集約してリスナーにぶつけてやろうという気概を感じます。そして忘れちゃいけない大事なことは、ラルクはロックバンドってことなんです。

「Blame」(1994 : from album Tierra)

バンドにおいて、ベースという楽器パートに、どういうイメージをお持ちでしょうか? 縁の下の力持ちだったり、グルーブを作る役割だったり、サッカーでいうとキーパーみたいなポジションかな。

この曲においてのベースプレイは、前述の固定観念を薙ぎ倒し、圧倒的な自己主張のもと5分10秒を駆け抜ける。それでも見事な調和と美しさを描ける稀有よ。先日、配信でもリリースされた既発アルバムのリマスター群は、更に低音が洗練されエッジが立っているので、テッちゃんのベースプレイの異常さをより堪能できます。

「ガラス玉」(1995 : from album heavenly)

ラルクで、いちばんガサツそうなのに誰よりも繊細な曲を書く男。それがギターのkenちゃん。kenちゃん楽曲の特徴って、曲展開が映像的でコントラストとダイナミズムのバランス感覚がピカイチ。

このガラス玉の曲構成は、静から動へのシンプルなロックバラードではあるけど、波の音や時計の秒針の効果音が更に映像性を高めていて、サビからギターソロへのつながりがめちゃくちゃ気持ちいい。