自分の作品が“伝わる”タイトルを考える

――(笑)。どの作品も等しく思い入れがあると思うんですが、そのなかでも会心の出来! みたいな、思い入れのある作品はありますでしょうか?

はち まんぷくかえるが、サクランボをたくさん抱えている「美味しかったから」という作品があるんですが、タイトルも含めてうまく表現できたかな、と思っています。

▲「美味しかったから」イラスト:はち

――SNSでの反応なども見ているんですね。

はち はい、参考にさせてもらっています。過去に、自分の中ではもっと反応があると思っていた作品がイマイチ伝わらなかったのも、もしかしたらタイトルを変えてたら伝わっていたのかな、と思ったりしました。ただ、最近はSNS疲れ、と言いましょうか、一時的にでもSNSから離れる人もいるんじゃないかって思って、そこからは「いいね」の数とかはあまり気にしなくなりましたね。

――たしかにそこに合わせだすと、はちさんの作品がブレそうですもんね。コードギアスやジブリが、はちさんの原点のようなお話をされていましたが、男鹿和雄さん以外にも影響を受けた方はいらっしゃいますか?

はち イラストレーターだと、ポケモンカードのイラストを手掛けられている有田満弘さんの作品は、ポケモンが現実世界で出会えるんじゃないかと思わせるような作品ばかりで、いつも勉強させてもらっています。

――はちさんの作品も“生きているような”瑞々しさがあると思いますよ。同世代や年下で一目置いている、じゃないですけど、すごいなと思っている方はいますか?

はち 生き物と宝石を組み合わせたイラストを発表している、安部祐一朗さんという方がいらっしゃるんですが、作品が素晴らしいのはもちろんのこと、年下の方なんですけど、その年齢の頃の自分を思い出したら、こんなにしっかりと独立して活動してなかったなって思ってます。

――いやいや、僕からすると超サイヤ人同士が戦ってる、みたいな次元の違う話に聞こえるんですが(笑)。

はち (笑)。ほかには、ぽん吉さんという、白菜と犬が合体した「おやさい妖精さん」というイラストを描かれている方も、よく拝見させてもらっています。

――では、はちさんが座右の銘にしている言葉はありますか?

はち どの仕事にも共通することだと思うんですけど、親から言われた“他人に迷惑をかけないように”というのはいつも思っています。特にフリーランスで仕事を始めてからは、クライアントに迷惑をかけてはいけないので、きちんと納期を守る。自分のこだわりを優先するあまりに締め切りを破る、というのはしないように心がけています。

――今の言葉を聞いて、はちさんを爪の垢を煎じて飲ませたい人がいる、と思った方は多いんじゃないでしょうか(笑)。7月6日に『まんぷくかえるのおすそわけ』(KADOKAWA刊)が出版されましたが、今後の展望、やってみたいことはありますか?

▲『まんぷくかえるのおすそわけ』(著・まんぷくアートスタジオ はち/KADOKAWA刊)

はち これまでSNSを中心に活動してきたので、ネットを見ない方にも作品を知っていただけるように書籍・グッズ・展覧会など、幅広く活動を広げていけたらいいなと思っています。


プロフィール
まんぷくアートスタジオ はち
イラストレーター/背景美術。アニメ制作会社に7年勤めた後、独立。2019年より SNS で投稿している、かえるのイラストが“癒される”“かわいい”と人気に。Twitter:@hachiyahachi1、Instagram:@hachi_artstudio